是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』、鑑賞前に知りたい韓国「ベイビーボックス」の実態
借金に追われるクリーニング屋のサンヒョン(ソン・ガンホ)は、児童養護施設出身で、現在はベイビーボックスの施設で働くドンス(カン・ドンウォン)と共に、ベイビーボックスに「預けられた」赤ちゃんをこっそり連れ去ってひそかに売るブローカーをしていた。
ある雨の夜、いつものようにベイビーボックスの中の赤ちゃんを連れ出したものの、その赤ちゃんの母・ソヨン(イ・ジウン)が思い直し、翌日に取り戻しに来る。警察への通報を恐れたサンヒョンとドンスは、仕方なくソヨンに赤ちゃんを連れ出したことを白状する。
「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という趣旨の言い訳を聞きあきれるソヨンだが、彼らと一緒に養父母探しの旅に出ることになる。一方、半年間にわたりサンヒョンとドンスをマークしてきた刑事のスジン(ペ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)も、現行犯逮捕の瞬間を狙い、静かに彼らの後を追うのだが……。
日本に先行して6月8日に公開された韓国では、ソン・ガンホのカンヌ受賞の朗報もあり、19日の時点で早くも観客動員100万人を突破するなど、順調な興行を続けている。映画レビューサイトでの観客や評論家の反応には低い点数も少なくないのだが、ジェットコースターばりにドラマチックな展開を見せる韓国映画に見慣れている彼らのような観客には、同作が「起伏のない物語」「平板な展開」と映るのも、仕方がないかもしれない。
だが、数十万人の動員で成功とされる場合も多い中、韓国の名優と日本の名匠の織り成すアンサンブルは、韓国国内で大きな成功を収めたといってよいだろう。
日本ではちょうど本日24日に全国公開が始まるということで、ここからは韓国の「ベイビーボックス」について、その実態を説明していきたい。