新進女優・斎藤莉奈が語る、「オーディションも撮影現場もオープン」な英国映画界
――英国で初めて出演した映画『クリーチャーズ』のオーディションは、どんなふうに行われたんでしょうか。
斎藤 『クリーチャーズ』のオーディション情報をネットで見つけ、SF映画でホラーとコメディが一緒になっているなんて面白いなと思い、オーディションを受けることにしたんです。私、けっこうグロいシーンには耐性があるので(笑)。オーディション会場では1人ずつ名前を呼ばれ、1時間ほどかけた面談がありました。まず、トニー・ジョピア監督にお会いして台本を読ませてもらい、アカネとして怒っているパターンの演技をいろいろと見せたんです。その後、アクションコーディネーターの方も同席されていたので、その場で殺陣を習って、試してみて、「練習すれば、あとは大丈夫だね」とOKをもらって……という感じでした。
――派手な殺陣を披露していますが、日本で習っていたんでしょうか?
斎藤 殺陣はレッスンで少しかじった程度でしたが、日本でモーションキャプチャーのお仕事をしたとき、『ラストサムライ』(03年)などに出演されたベテランの役者さんたちと一緒になり、その際にアクションについての基礎を学んだ感じでしたね。趣味でボクシングジムに通っていた時期もあったので、アクションは体幹が大事という基本的なことは理解していましたし、日本で経験したことは、無駄にはなりませんでした。アクション映画への出演は今回が初めてでしたが、殺陣がうまく決まったときは、爽快感がありましたね。
――低予算映画ですが、キャストはみんな楽しそう。撮影現場の雰囲気のよさがスクリーンからも感じられます。
斎藤 本当に楽しかったです。アットホームな雰囲気の撮影現場でしたし、ジュピア監督はすごく明るくて、オープンな性格でした。「アイデアがある人は言ってね」と言ってくださり、発言しやすい現場だったんです。
――斎藤さんのアイデアが採用されたシーンもある?
斎藤 アカネが階段でゾンビと戦うシーンが後半にあるんですが、最初は階段の上の広い踊り場で戦う予定だったんです。私のアクション経験が少ないことから、アクションコーディネーターの方が気を使って、危険のないように踊り場での殺陣を考えてくれていたんですが、私から階段での殺陣を申し入れました。現場ではけががないことが第一に考えられるので、「私、やれます!」とアピールしないと迫力ある場面が撮れないように感じたんです。監督や作品にもよると思いますが、自分からアピールすることの大切さを、英国に渡ってからは強く感じるようになりましたね。