サイゾーウーマン芸能韓流映画『私の少女』が描く「LGBTと韓国」 芸能 [連載]崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 「同性愛は治療で治る」韓国・ユン大統領秘書の発言が炎上! 映画『私の少女』が描く「LGBTと社会」の現在地 2022/05/20 19:00 崔盛旭(チェ・ソンウク) 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 「同性愛反対法」制定の動きも……韓国のLGBTは何と闘うのか しかし同時に、こうした社会の動きをはるかに上回る形で、LGBTへの嫌悪や反発もまた強力になっていった。現に、国家・自治体による同性婚の不認定や、逆に認めてもらおうと法の判断を求める人々に対する保守的市民団体によるバッシング、さらに、LGBT集会へのヘイトスピーチが頻繁に起きている。一部では「同性愛反対法」という、性的アイデンティティの選択の自由を奪うような悪法の制定を促す動きも出ている。 このように韓国では、LGBT文化や多様性に対する社会的理解が成熟していく道のりを、社会自らがことごとく遮り、妨害しているといえる。そこで今回は、依然として未熟な状態にある韓国のLGBTは何と闘い、どう生き延びればいいのか、物語を通して象徴的に提示している『私の少女』(チョン・ジュリ監督、2014)を取り上げ、その答えを探ってみたい。 『私の少女』あらすじ 14歳の少女・ドヒ(キム・セロン)は、継父のヨンハ(ソン・セビョク)と祖母から虐待を受けながら、人里離れた閉鎖的な海辺の村で孤独な日々を送っている。ある日、ソウルから村の警察署長として赴任してきたヨンナム(ペ・ドゥナ)は、村の子どもたちにいじめられていたドヒを助ける。そこで、ドヒへの虐待を知ったヨンナムは自宅に保護し、次第にドヒもヨンナムに懐いていく。 だが、2人の幸せは長く続かなかった。ヨンナムに強い不満を抱くヨンハが、ヨンナムと同性の恋人がキスをしている様子を目撃し、「同性愛者」と騒ぎ立てたからだ。実は、ヨンナムは同性愛を理由に左遷され、この村に赴任したのだった。ヨンナムから引き離され、元の生活に戻されてしまったドヒは、ヨンナムと自らのために大胆な行動に出る。それは、今までのドヒとは思えない、衝撃的なものだった。 次のページ 『私の少女』にノーギャラで出演した、韓国トップ女優のぺ・ドゥナ 前のページ12345次のページ Yahoo 私の少女 【DVD】 関連記事 Netflix『未成年裁判』は“ほぼ実話”? モチーフになった事件と、ドラマで描かれなかった「犯行動機」のうわさ映画『野球少女』で描かれた、韓国初の女性野球選手はいま――物語とは決定的に異なる「悲しい」結末韓国映画『バッカス・レディ』4つのセリフが示す、韓国現代史の負の側面を背負う高齢売春婦の悲しすぎる人生人気の韓国映画『7番房の奇跡』、時代設定が「1997年」だった知られざる理由『エクストリーム・ジョブ』を韓国コメディ映画部門の歴代1位に押し上げた、韓国の国民食“チキン”