コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

「美智子さまいじめ」の主犯だった、学習院「常磐会」とは――皇太子妃の座をめぐる“アンチ活動”

2022/05/21 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江 そんな彼女も皇太子妃時代の“美智子さまいじめ”の主犯だといわれていますね。しかし、吉原の遊女だった女性が、廓(くるわ)から逃げ出し、「自主廃業」するのを手伝うなど(参考:森光子『吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日』朝日文庫)、先進的な社会運動家としての顔も柳原さんは持っていたわけです。

――美智子さま排斥運動にそんな柳原さんが加担するのは、矛盾している気がします。

堀江 そうなんですよね。常磐会のメンバーにとって、皇室は最高のスターであり、なにもかも崇め奉るような特別な存在であるべきだったのかもしれませんね。生まれた家が(旧)皇族・華族ではないことはよほど許せなかったのでしょう。もしくは、自分より上位の方々……たとえば松平さんからの排斥運動参加要請を断るようなことは、とてもできなかったのかもしれません。

 柳原さんは、戦前に華族の身分を奪われてしまったような奔放な女性ですし、戦後、ご存じのように華族という身分は消失しています。しかし、柳原さんアイデンティティとしては、高貴な生まれであるという自負心は消えずにあったでしょうし、自分より立場も、身分も上の松平さんから「常磐会出身ではない女性が皇太子妃になるなんてあってはならないことよ。有名人の貴女に協力していただきたいわ」などと頼まれたら、拒めなかったのでは……。

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