コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」
有吉弘行、ざわちんの目標を“否定”する姿に思う「忘れる」ことの大切さ――気を使えるはずが「やっちゃった」一言
2022/05/05 21:00
毒舌を交えた「有吉先生の進路相談」には特徴があり、「芸能界は無理だ、やめろ」とは言わない。「自分の望む形ではないかもしれないが、とりあえず芸能界で生き残るにはどうしたらいいのか」というスタンスで、相談に乗っているように私には感じられた。『M-1』や『R-1』の予想も同じで、「あいつは優勝できない」というふうに、否定する形での予言はしない。
物事をはっきり言うけれども、全否定はしないのが有吉の毒舌の特徴であり、芸人として達者なところだと私は思っているが、ざわちんの件は違った。いつものように、「オリコン1位より、別の形で活躍を目指すのはどうか?」などとフォローしておけば、世間から「大御所が若手の目標を否定した」と思われる危険を回避できたのではないか。
ざわちんの発言について、「若気の至りじゃ許さないですから」とも話していた有吉。よほど腹に据えかねる出来事だったのかもしれないが、「忘れない」のはざわちんに対してだけではないようだ。
さすがに今は結婚したので違うと思うが、有吉は再ブレークを果たした後も、「生活レベルを上げるつもりはない」との理由で、家賃の高いマンションや、高級グルメに興味がないことを明かしていた。猿岩石として大ブレークしたものの、すぐに仕事がなくなって、貯金を切り崩して暮らしていたそうだから、お金の大切さや、「人気」というものの不確かさが身に染みているのかもしれない。
この時の気持ちを「忘れない」からこそ、今の有吉があるのだろう。しかし、「許さない」ことはあえて「忘れる」ほうが、世間に悪印象を与えないし、自身のためになるような気がする。
最終更新:2022/05/05 21:00