芸能
[連載]崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』

Netflix『未成年裁判』は“ほぼ実話”? モチーフになった事件と、ドラマで描かれなかった「犯行動機」のうわさ

2022/04/22 19:00
崔盛旭(チェ・ソンウク)

 本作は、本来なら刑事責任が問われるはずの罪を犯した未成年に対して、少年法は果たして有効であるのかという「少年法のあり方」への問いかけから始まっている。

 犯罪そのものは十分厳罰に値するにもかかわらず、犯罪者が未成年であるという理由だけで、それを免れてよいだろうか。未成年犯罪者の更生を第一の目的とする少年法は、果たしてその目的通りに機能しているだろうか――こうした疑問や議論は、これまでも未成年犯罪で「軽い」判決結果が出るたびに、必ずと言っていいほど国民の中から噴出してきた。

 感情に左右されることなく公正を保たなければならない法の執行と、それに対して共感や納得ができない国民感情が衝突すると、「少年法廃止」を求める世論が高まる。国民感情からすれば、現在の韓国の少年法は「甘すぎる」のである。

 実際、次期大統領に当選したユン・ソギョルは「触法少年の年齢を満12歳未満に引き下げる」という検事出身らしい公約を掲げているが、一方で「法の改正」より更生のための「国家システムの改善」を訴える国民の意見も少なくない。

 韓国の「少年法」は「反社会的な少年に対してその環境の助成と性行の矯正に関する保護処分をし、刑事処分に関する特別処置をすることで少年の健全な育成を期する」(『警察学辞典』より)と定義されている。つまり、反社会的な少年の更生を図り、健全な育成を目的とするというわけだ。

 そして「少年」とは満19歳未満の者で、中でも満10歳~満14歳未満の少年は「触法少年」、つまり刑事処分ではなく保護処分の対象にするとしている。満14歳以上の少年は「犯罪少年」といい、刑事処分と保護処分の両方の対象になっている。

 最高刑は触法少年が2年間の少年院送致(10号処分)、犯罪少年が懲役20年である。『未成年裁判』でいえば、ペク・ソンウは触法少年、ハン・イェウンは犯罪少年に当たる。

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