サイゾーウーマン芸能韓流Netflixドラマ『未成年裁判』は“ほぼ実話”? 芸能 [連載]崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 Netflix『未成年裁判』は“ほぼ実話”? モチーフになった事件と、ドラマで描かれなかった「犯行動機」のうわさ 2022/04/22 19:00 崔盛旭(チェ・ソンウク) 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 Netflix『未成年裁判』で注目すべきポイントは? ちなみに、ドラマでは描かれなかったが、実際の犯行動機として世間でうわさされたのは、キムとパクがハマっていたというSNSコミュニティーのゲームだった。「総括」と呼ばれる管理者が与える設定に合わせて、メンバーたちがそれぞれのキャラクターを作成し、架空の殺人物語を作り上げていくゲームだという。 これが犯行の直接的な動機になったとは言い切れないものの、本来ならば想像上で完結する殺人事件を、2人が現実に再現しようとしたのであれば、ゲームが影響を与えたと捉えることは十分に可能だ。この事件によって未成年に対するSNS規制も穴だらけということが浮き彫りになり、規制の強化を急ぐ声も上がったが、進展はなかった。 こうして見ると、ドラマは被害者の性別や加害者の年齢など、いくつかの設定を除けば、実際の事件を非常に忠実に描いていることがわかる。だがその中でも、実際の事件の犯人たちが「犯罪少年」に当たる年齢であるのに対して、ドラマは犯人の一人を「触法少年」に変えている点は注目すべきだろう。 犯罪少年と触法少年という異なる立場をわかりやすく打ち出すことによって、このドラマでは少年法の一番の盲点と指摘される「満10歳~満14歳未満」という年齢規定と、刑事処分除外の妥当性への問題提起を試みているからだ(実際、ドラマのペク・ソンウのように、最初から触法少年であることを自覚して罪を犯す未成年も非常に多い)。 ドラマを見進めていくとより明らかになっていくが、本作のメッセージは単純に少年法の廃止や厳罰化を訴えるのではなく、加害者の家庭環境や学校という組織の問題、更生のための国家的システムの不十分さ、法が必ずしも被害者に寄り添えていない実態といった多層的なまなざしから少年法のあり方にアプローチし、判決を下す判事たちの葛藤や闘いを通して社会の構造的な問題を浮かび上がらせることにある。 当然だが、未成年犯罪は決して未成年だけの問題ではない。社会全体の問題なのだ。 次のページ Netflix『未成年裁判』と、日本の「神戸連続児童殺傷事件」が巻き起こした議論 前のページ12345次のページ 楽天 Yahoo セブンネット ケーキの切れない非行少年たち 関連記事 映画『野球少女』で描かれた、韓国初の女性野球選手はいま――物語とは決定的に異なる「悲しい」結末韓国映画『バッカス・レディ』4つのセリフが示す、韓国現代史の負の側面を背負う高齢売春婦の悲しすぎる人生人気の韓国映画『7番房の奇跡』、時代設定が「1997年」だった知られざる理由『エクストリーム・ジョブ』を韓国コメディ映画部門の歴代1位に押し上げた、韓国の国民食“チキン”韓国人との「区別」、詐欺・セクハラ被害……映画『ファイター、北からの挑戦者』に映る “脱北者”の現実