コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

阿佐ヶ谷姉妹は、今のテレビが求める条件をすべて満たす……「キラキラ」「攻撃性」のない笑いが求められるワケ

2022/03/31 21:00
仁科友里(ライター)

 ひと昔前の価値感なら、40代の独身女性が2人で住んでいると、「さみしい女たち」と言われたかもしれない。しかし、芸能人の不倫報道が頻発していることでもわかる通り、結婚したからといって、愛のある生活を送れるとは限らない。それに、近年「毒親」「きょうだいリスク」という言葉が出てきたことからも、血のつながった家族でも適切な関係が築けないことがあると、我々は知ってしまった。

 それなら、夫婦でなくても、血がつながっていなくても、気の合う人と隣に住み、心の通った会話をし(夫婦や家族であっても、表面的な会話しかできないことはある)、自分の好きな仕事をして、経済的な独立を果たす阿佐ヶ谷姉妹のような暮らしというのは、現代の理想の形の一つではないか。阿佐ヶ谷姉妹はお笑い芸人として視聴者に求められるだけでなく、大衆の憧れになりつつあるのだろう。

 阿佐ヶ谷姉妹が日常的なフツウの話をして、ふふっと笑う。キラキラも大爆笑もない代わりに、人を傷つけることもなく、攻撃性もない。だから、飽きることもなく、延々と見ていられる。今の視聴者が求めているのは、そんなフツウの笑いなのかもしれない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2022/03/31 21:00
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