カズレーザー、最大の魅力は「自意識に振り回されないこと」? オープンカーを“笑う”芸人との違い
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今週の有名人>
「いい服は着るのに、オープンカーはぐだぐだ言う」メイプル超合金・カズレーザー
『オードリーと選の夜』(2月28日放送、テレビ朝日系)
2月28日放送のバラエティ番組『オードリーと選の夜』(テレビ朝日系)内で、オープンカーについて取り上げていた。
「芸能人たちが“今気になってしょうがないコト”を発表し、みんなで語り合う」という番組内容で、サンドウィッチマン・富澤たけしは「オープンカーに乗る人の気が知れない」と話した。その理由として「恥ずかしいじゃないですか、ものすごく見られるし。夏はわかる気がする。冬になんでオープンにして走っているの?」と言い、特に冬の寒い時期にオープンカーに乗る意味がわからないようだ。
ロバート・秋山竜二も「乗っている奴のテンションがね。もっとはっちゃければいいのに、屋根がある顔をしている」と、あえてプライバシーのない車に乗り、自分をさらしておきながら、見られていないかのように冷静に振る舞うハートの強さや不思議さを指摘。番組司会のオードリー・若林正恭は「だいたいブランドのめちゃデカいロゴが入ってる服着ている」と、オープンカーに乗る人に経済的余裕とアピール気質を感じると話していた。
3人とも、オープンカーに乗る人をちょっとバカにしているように私には感じられたが、メイプル超合金・カズレーザーは「むっちゃ乗りたい、がぜん乗りたい」と発言し、スタジオでは驚きの声が上がった。続けて、富澤らに「人の目がどうとか、みなさんおっしゃいますけど、じゃあオシャレするなよって思うんですよ。オシャレってそもそも人に見られるためにやってるじゃないですか」と反論。「いい服は着るのに、オープンカーはぐだぐだ言うなよ」と、好きな服を着ることとオープンカーに乗ることは、同じ「人に見られること」を意識している行為だと主張した。
これらの会話、私には微妙にかみ合っていないように感じられた。カズレーザーは単純に「オープンカーに乗りたいか、乗りたくないか」を話している。しかし、ほかの3人、特に若林は違うのだ。
番組スタッフは実際に、東京・表参道でオープンカーに乗っている女性を見つけ、インタビューを行った。その際、女性が「オープンカーに乗っている人は、みんな目立ちたがり」と自己申告したため、このVTRを見ていた若林は「最後の最後、ようやく目立ちたがり屋っていうのが出てきた。自首してきた」とまとめていた。
つまり、若林自身も「オープンカーに乗っている人は目立ちたがり屋」だと思っており、VTRを見ている間、「オープンカーに乗る人は目立ちたがり屋か、そうではないか」を気にしていたのだろう。富澤と秋山も「乗ったことで自分は人からどう見られるか」を考えたうえで、「オープンカーに乗る人の気が知れない(自分も乗らない)」と言っているように見える。
番組では、そんな「目立ちたがり屋」な人々を笑っているように感じたが、オープンカーに乗る人が本当に目立ちたがり屋だったとして、それが笑われるのはなぜなのか。