サイゾーウーマンコラム母の愚痴、ボケが進んだ父 コラム 老いゆく親と、どう向き合う? 母の愚痴、ボケが進んだ父――「いい加減にしてくれよ」と親を叱る一人息子の憂鬱 2022/03/06 18:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う? 災害でホームへの住み替えを決断 父親の考えが変わったのは、6年前の熊本地震だった。 「実家は無事ではあったんですが、相当大きな揺れだったようで怖い思いをしたらしいです。それで、父が『やっぱりホームに入るから、よさそうなところを探してほしい』と言い出したんです」 渡りに船とばかりに、木村さんはホーム探しのために帰省した。優先すべきは、安全性と快適性。ホームの「銘柄」はその点を重視して選んだ。 決めたのは、温泉付きの有料老人ホームだ。決め手になったのは、鉄筋コンクリートの建物なので、災害に強いこと。さらに温泉がついているので、父親の身体が今後もっと不自由になって外出ができなくなっても、気持ちが少しでもまぎれるだろうと考えた。温泉付きというのは、その地方ではそう珍しいものではなかったらしい。何ともうらやましい話だ。 「熊本地震のあとも、何度か震度5程度の揺れは起きましたし、豪雨被害もありました。だからとにかく安全な建物にいるというのが、離れて暮らす僕にとっては一番のメリットですね。両親も安心しています」 両親がホームに入る際には、自宅も売却した。これもプロコンだ。古家を残しておいても、木村さんに何もメリットがないどころか、負の資産になる危険性が大きいことから、迷わず売却を選んだのだという。 次のページ 一人息子・木村さんの憂鬱のタネ 前のページ123次のページ 楽天 100歳まで元気でボケない食事術 関連記事 ケアマネは見た! 50代の娘が引きこもりに……富裕層の暮らしから一転、エリート家族の闇【前編】「義弟から聞いてゾッとした」認知症の母の介護を妹夫婦に任せた兄、背筋が凍ったと話す事情仲良し姉妹の「3世帯同居」、母の介護も「妹と協力していけば大丈夫」と思っていたが……亡くなった父へ、娘が抱く後悔と自責……「父の言葉をいいように解釈して、苦しみから逃れてる」と語る胸中限界を見た姑の介護、それでも「最期まで本当にいい姑でした」と語る胸中とは?