【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

秋篠宮さま、タイ渡航に関するマスコミ誤報に反論! 「週刊誌の方は自分たちはウラを取っている」というが……」

2022/02/12 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます! 

2009年7月3日、羽田空港にて(C)gettyimages

――前回から秋篠宮さまと個人的なお付き合いのある、ジャーナリスト・江森敬治さんのご著書『秋篠宮さま』(毎日新聞社)を堀江さんと一緒に読み解いています。本書の中で宮さまは自らを「インドア系」と称するなど、週刊誌に作られたイメージに反論なさっておられるのですよね?

堀江宏樹氏(以下、堀江) はい。本書のあちこちで、宮さまはご自分を「外出は嫌い」とおっしゃり、インドアの社交嫌いだと主張なさっています。しかし、すべてはこの本の最後に出てくる、“最大の誤報”に反論するためのようですね。

――マスコミの誤報ですか? 詳しく聞かせてください。

堀江 1996年4月、秋篠宮さまは当時アメリカ大統領であったクリントン氏を歓迎する宮中晩餐会を欠席し、タイに渡航なさいました。これを「公」を軽んじ、「私」を重んじた行為と見なしたマスコミから宮さまは激しく叩かれたのでした。


 江森さんの所属する「毎日新聞」でも、「ナマズのためなら」という見出しで記事が出ましたし、この問題のマスコミ対応を担当した宮内庁による「(宮さまのタイに行きたいという)意思を尊重し、熟慮の末、不本意ながら決めた(※要旨)」というコメントも発表されました

――なぜ「そこまでしてもタイに行きたがるのか?」と思ったマスコミが、宮さまの本命はナマズではなく、タイにいる愛人女性なんだろう、と騒ぎだした……という一件ですね。

堀江 しかし、本書ではそれはすべて誤報である、と。たしかに宮さまへのセクハラでもあるし、タイという国や、そこの人々を侮辱したとも受け取られかねないですよね。秋篠宮さまはかなりお怒りで、当時から、真正面の反論をなさっています。

 宮さまご本人が1996年11月の記者会見で語られた内容、それから宮さまの同行者だった、赤城攻大阪外国語大学教授(当時)のコメントをまとめると、私的なナマズ研究が主目的ではなかったようですね。

 タイ国政府農業・協同組合省からの招待を受け、タイ北部のチェンラーイという県で、1年に1回だけ行われる、「プラー・ブック(メコンオオナマズ)」という巨大ナマズの捕獲儀式を宮さまが見学するべく、アメリカ大統領の晩餐会が決まるよりもはるか以前から、タイ・日本の両国で予定を組んで調整してきたことだったのに……というのが事情だそうです。


Pangasianodon gigas in Gifu World Fresh Water Aquarium - 2
メコンオオナマズ。成長すると2~3メートルくらいにもなる。KKPCW, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

――へぇー。そうなると報道の見え方も違ってきますね。

堀江 当時の宮さまは皇族という立場から、魚と人や社会の関係を考察する研究をつづけられていました。つまり、その研究を通じて、国際親善に努めるというのが主目的だったのです。

 宮内庁の長官からも、「予定通り、タイに行って問題なし」と判断された案件だったようですが、宮内庁全体でいうと、ローカルなタイの祭事の見学より、アメリカの大統領の訪日の晩餐会に皇室の中心人物として参加してほしかったという“本音”もあったのでしょうね。そのあたりが「(宮さまの)意思を尊重し、熟慮の末、不本意ながら決めた」という言い方につながったのでしょう。

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