コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

ベッキーが今、「周りを幸せにしたい」と言ってはいけない2つの理由――“いい子発言”が気になるワケ

2021/12/23 21:00
仁科友里(ライター)

 2つ目の理由は、数は少ないと思われるが、「人を幸せにする」という言い方に押しつけがましさを感じる人がいないとは限らないからである。「人を幸せにする」という一言からは、「自分は人を幸せにする力がある」と信じていることがうかがえてしまう。

 実際にベッキーから幸せをもらう人もいるだろうが、反対に、ベッキーを見ても幸せにならない人もいるはずだ。それはベッキーに「幸せにする力がない」からではなく、幸せかどうかは受け手の感性に委ねられているからではないか。そう考えると、幸せは「個人の問題」であり、「周りを幸せにする」という言い方自体が「大きなお世話」といえるだろう。

 また、ベッキーの「周りを幸せにしたい」という言い方は、サンタクロースが子どもにクリスマスプレゼントを配るようなハートウォーミングなイメージなのかもしれない。しかし、「幸せをあげる人」と「幸せを与えてもらう人」がいるという意味では、上下関係、もしくは支配関係に似た構造が生まれるので、「いい子のフリをして支配的」な印象を受けて、興ざめする人もいるかもしれない。

 以上、2つのことを意識して発言しないと、新しい支持母体を得られないどころか、ますますアンチが増えてしまいそうだ。

 その昔、有吉弘行に「元気の押し売り」とあだ名をつけられたベッキー。今、不倫のイメージダウンから回復途上にあるベッキーが気を付けるべきは、「周りの人を幸せにしたい」の一言からもにじみ出る、「善意の押し売り」ではないだろうか。長年のカンを生かしながら、注意深く頑張っていただきたいものだ。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2021/12/23 21:00
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