コラム
高橋ユキ【悪女の履歴書】
84歳男性と「何度も男女関係ありました」――中年パート主婦2人が独居老人を絞殺するまで【群馬・独居老人殺人事件:後編】
2021/12/25 17:00
コツコツと貯金しており、高齢で、一人暮らしの老人……逸見さんをターゲットに据えた理由は、それだけではなかった。ミツは、「サラ金以上の厳しさ」で借金を取り立て、返済不能な女性には交際を迫る、そんな逸見さんに対する“意趣返し”も含めて計画を立てたのだった。
アパートの管理人がかつて逸見さんとミツの間に立って話し合いを設けたとき、肉体関係の有無を尋ねていたが、そのころミツは週に1、2度、逸見さんのアパートを訪れ、セックスに応じ、下着やワイシャツなどの洗濯もしていた。
2人は新幹線などを乗り継ぎ、静岡から桐生へ。逸見さんの部屋を訪れ「泊めてほしい」と持ちかけ、3人で川の字になって床に就く。
やがて逸見さんが寝入るのを見計らい、持参した紐をまずは奈美が、逸見さんの首に巻きつけた。その片方を、ミツに手渡す。そして両方から、2人で互いに紐を引っ張り、逸見さんの首を絞めた。
気持ちがたかぶっていたのか、2人は桐生市から三島市まで戻る時、タクシーで桐生から栃木県まで移動。殺害後に逸見さんの預金通帳からミツが引き出した90万円は、折半し、2人とも三島市内のサラ金業者への返済にあてたという。
とはいえ、完済には程遠い。1人の老人を殺したのは金のためか、それとも、逸見さんから“金利”として何度も体を求められたことからか。
◎参考文献
「サンデー毎日」1984.1.29号
「週刊新潮」 1984.1.19号
「アサヒ芸能」 1984.1.26号
「週刊現代」 1984.1.28号
最終更新:2024/01/16 16:19