ブーム化する中学受験「授業料はなんとかなる」が落とし穴! 想定外の出費はン万円!?
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
ある塾の試算によると、2022年の首都圏中学受験者数は昨年よりも5%増えて5万5千人になるという。コロナ禍をもろともせず、受験者総数、受験率ともに、6年連続で右肩上がり。つまり今年度も人気校では激戦が予想されているのだ。このように、中学受験はもはや「ブーム化」しているともいえよう。
都内近郊に住む友莉子さん(仮名)も、そんなブームに乗ってしまったひとりだ。友莉子さんの自宅周辺は田畑も残っている、どちらかと言えばのどかな地域。代々で住まわれている人たちと、友莉子さんのように宅地開発によって移り住んできた人たちが混在しているエリアだそうだ。
「ウチの近所は大豪邸というほどの家はなく、いたって普通の戸建てやマンションが立ち並んでおりまして、サラリーマンの共働きが多いって地域です。お母さんたちも普通に働いているので、そのせいもあって、子どもたちのプレスクールや習い事は豊富にあり、人気でした」
友莉子さんもパートタイムでがんばるワーキングウーマン。仕事の日は、習い事をしている娘の恵茉さん(仮名)をピックアップして帰宅していたという。
「中学受験は最初は考えていませんでした。恵茉の下にも弟がいるので、世帯年収が900万円の我が家には、ちょっと私立中学は苦しいかなと思っていたんです」
ところが、恵茉さんが3年生になると、気が付けば、周りはほとんどといってもいいくらいに中学受験専門塾に通っていることに気が付いたのだという。
「ママ友に聞いたら、低学年から入塾させないと、後からでは定員オーバーで入れないと言われたことと、恵茉が自分もお友だちと同じ塾に行ってみたいと言うので、入れたんです。でも、自分の中に、何て言うのか、中学受験へのステイタスみたいなものがあったとは思います。何だろう……、みんながやってるなら、ウチもやらなくちゃ……みたいな感じですかね……。周りに聞いたら、同じような年収でも受験しているようだったので、大丈夫かなって思いました」
友莉子さんは自身のこれまでの人生を思い起こすに「流され派」だと自嘲する。
「何でもそうなんですよ。特にしたいこともなく、周りが大学に行くので、そんなもんかと推薦で行けた大学に進学。就職して、友人たちが結婚していくので、たまたま、その時付き合っていた人と結婚。そのうちに子どもが生まれて、そろそろマイホームなのかなってことで35年ローンで家を購入。中学受験も同じような流れで参入したって感じです」
恵茉さんは特に問題もなく、志望校のひとつである私立中学に合格。現在は中学3年生になったという。