コラム
オンナ万引きGメン日誌
逃走万引き犯が捕まった! 「しっかり思い出して」検察庁でGメンが体験したイヤ~な話
2021/11/27 16:00
先日、自宅でゆっくりしていると、事務所から電話がかかってきました。声かけ時に逃走して、後日逮捕された女が犯行を頑なに否認しているため、現認者である私の話を直接聞きたいと、担当検事から呼び出しがあったというのです。早速に折り返しの連絡を入れると、なるべく早く来てくれと頼まれ、次の休みの日に出頭することになりました。
検事調べ当日。検察庁の受付で約束の時間と担当検事の名前を伝え、所持品を含めたボディチェックを受けると、上階の待合室に通されました。待機している間、手錠と腰縄をつけられた人が数人、見張りの官を従えて両脇の廊下を通過していきます。
そのうち一人の男の顔に見覚えがあり、誰か思い出せないまま待ち時間を潰していると、顔色の悪い痩せた事務官に呼ばれました。縦長の部屋に3人くらいの検事が詰めており、ついたての向こうにある隣の席では、先ほど見かけた見覚えのある男が取り調べを受けています。後方で待機する官は、腰縄の先端を手に揃って居眠りしておられ、そこだけ見れば休憩室の様相です。
「お忙しいところ、すみません。交通費と日当は出るので、少しの間ご協力ください」
ちなみに、この日の日当は5,000円ほど。受け取りに必要な書類を書き終えると、早速本題に入り、すぐに被疑者の写真を見せられました。手錠をはめ、腰縄をつけられた30歳くらいに見える太目の女の全身写真で、寝起きを襲われたように見える不機嫌な表情が鼻につきます。
「この女、見覚えありますか」
「いや、ちょっとわからないですね」
「では、こちらの写真を見てもらえますか」