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『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』かき揚げでケンカする介護のリアル「愛する人、見送る私 ~看護師僧侶と3つの家族~」

2021/11/02 18:54
石徹白未亜(ライター)

 玉置は、「もともと家ってクローズド(閉鎖的)なもの、だから入りづらいし、家族も外に向かってヘルプを出しにくい。だから闇は深まるよね、そうなると。それがいいとか悪いとかではなくて、そういうものなんだと思う。ただそこへ入り込んでいって風穴を開けるっていうのかな。それは必要だと思う」と話す。

 玉置や理学療法士など、外部の人間が美津江宅を訪ねることで、家族は少し「ガス抜き」ができているようだった。

 また、29歳で結婚後、9カ月で夫を亡くした女性は、その後8年間自宅で引きこもる生活を続けている。玉置が家を訪ねた際も、昼間からストロング系の缶チューハイを飲み、酩酊していた。一緒に暮らす女性の母親は、「(娘が)今まで誰にも話さないようなことを妙憂さんには全部お話ができる。本当に私としては救われる思いです」と話す。

 番組の最後では、大久保家にスタッフが再訪していた。悦子は自宅で3カ月過ごし、一に看取られたという。そんな一は、悦子の写真を撮るのを趣味にしていて、夫婦が歩んできた日々をうかがわせる多くの写真や動画が番組でも紹介された。

 新婚時代、映画スターのようにしっかりポーズを決めて写る若かりし頃の悦子から、おそらく中学に入学したてで、首回りがだぼだぼの学ランを着た孫と一緒に笑って写っている悦子。最後となった1枚は、好物のモンブランを前にリビングで笑顔を浮かべる悦子だった。

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