【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

現役の皇族が大炎上するのは「歴史的なこと」? 眞子さま・秋篠宮家バッシングが象徴する「特権」と「私らしさ」の相克

2021/10/24 16:30
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

“苦労人の好青年”との印象を与えていれば、評価も違っていた

堀江 ジェンダーの問題もあるかと思います。(元)麻薬中毒疑惑のシングルマザーから、ノルウェー王室の将来の王妃、つまり王太子妃になったメッテ=マリット妃のお話もこの前にしましたが、彼らの性別が入れ替わっていたのなら……。

 たとえば、ヨーロッパの王室では女性が国王として即位する「女王」が認められるケースが多めです。しかし、ノルウェー王室の将来の女王が、麻薬の売人の疑惑があり、シングルファーザーの男性との結婚を望み、またその男性が会見で泣いて過去を反省したところで、国民の支持は、メッテ=マリット妃がそうだったように急激に上がってくれるのものか? という懸念はあるような気がします。

 たとえば、小室さんが、今度の会見で泣いて過去を悔いたところで、評価が上がると思いますか?

――うーむ、たしかに難しいですね。よしながふみの『大奥』(白泉社)という漫画も、史実をベースとしながらもキャラクターの男女を逆転させていたのですが、側室(男性)をとっかえひっかえする行為を将軍(女性)がしていると、そのまま受け入れがたいものが……。

堀江 そうですね。綱吉などのエピソードはとくに……。それはともかく、眞子さまと小室さんのケースは、メッテ=マリット妃に比べると解決は本来、容易だったのです。


 小室さんは問題行動が多すぎるお母様のいる家庭の出身者かもしれないけれど、母親を諭し、懸命に正しい方向へ導こうとしている “苦労人の好青年”との印象を国民に早期に与えることができていたら、こんな悲惨なことにはならなかったでしょう。

 そして、過去のある男性とあえて結ばれ、支えていく覚悟の眞子さまはご立派という印象も与えられていたら、ご自身や、日本の皇室の株も上がっていたかもしれない。眞子さまは現在でもそういうふうに、ご自分や小室さんのことを世間に評価してもらいたいのでしょうが……。

 もう少し、宮内庁の方が世論を読んだ対応をしてくださっていたら……と嘆かわしいですね。

――次回は宮内庁の一連の対応について考えます。10月25日公開


堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

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最終更新:2021/10/25 16:53
本当は怖い日本史
特権と自由、どっちか選べといわれたらどうする?