コラム
オンナ万引きGメン日誌
「離せよ、このくそばばあ!」悪質な転売万引き犯「クロキン」の抵抗に女店長が取った勇敢な行動
2021/09/11 16:00
今回の被害は計8点、合計で7万6,000円ほど。クロキンの所持金は2,000円足らずで、商品を買い取ることはできません。事務所に連れて行き、警察官と一緒に人定確認を進めると、クロキンは28歳。失業中のため、この店から少し離れたところにある実家で、母親と2人で暮らしていると話していました。すっかりおとなしくなり、うなだれたまま顔を上げないでいるクロキンに、店長が尋ねます。
「これ、どうするつもりだったんですか?」
「すみません。売るつもりでした」
「ウチの店で、いままで何回くらいやってます?」
「ここでは、本当に初めてです」
これまでうまくやってきたのか前科前歴はありませんでしたが、被害が高額で手口が悪質なことから、クロキンは逮捕されることになりました。直接の逮捕者である店長の書類も必要となり、2人で警察署に行くことになったので、刑事課の前に設置されたベンチで待機している間に、ずっと気になっていたことを聞いてみます。
「店長さん、男性相手にすごかったですね。何か、やっていらっしゃるんですか?」
「あたし、小学生のころから合気道をやっているんです。父が先生をやっていたものですから、ずっとやめられなくて。でも、こうして役に立つとうれしいものですね」
そう言ってはにかむ店長が、あまりに頼もしく素敵で、次の勤務日が楽しみになりました。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)
最終更新:2021/09/11 16:00