コラム
オンナ万引きGメン日誌
「離せよ、このくそばばあ!」悪質な転売万引き犯「クロキン」の抵抗に女店長が取った勇敢な行動
2021/09/11 16:00
当日の現場は、関東郊外の街道沿いに位置するスポーツ用品店S。倉庫のような広大な売場に、さまざまなジャンルのスポーツ用品を豊富にそろえる専門店です。近頃、各店で高額品の盗難が多発しているとのことで、被害の多い地域を中心に警戒することになりました。今月は、この店に10日ほど入る予定で1日も早く実績を作りたいところですが、5日目の今日を迎えるまで成果はありません。なんとなく気まずい思いを抱えつつ、店舗裏手にある総合事務所まで出勤のあいさつに出向くと、30代と思しきポロシャツ姿の女性店長に出迎えられます。体格のいい男性と見紛うほど筋肉質で、どことなくSHELLYさんに似た明るい雰囲気を有する健康的な女性です。
「ああ、Gメンさん。今日も、お願いします」
「今日も1日、お世話になります。何か注意することはございますか?」
「一昨日、自転車部品の空き箱が棚の下から出てきました。コロナ対策でスタッフの数も少ないので、やりやすいのかもしれませんね。また来るかもしれないので注意してください」
売場の状況をお伝えすれば、いかにも魅力的で高額な商品を無数に扱っているものの、店内は死角だらけで、やろうと思えば何でも盗れる状況に感じられます。防犯設備も頼りなく、言ってしまえばお客さんの良心に頼る防犯態勢。流行の最先端にいる商品を扱うには心細い状況といえるでしょう。
しかしながら、平日のためかお客さんはまばらで、出入口を中心に警戒していれば歩き回らなくても済むほどの状況です。特に気になる不審者の来店もないまま、あきらめの心境をごまかしながら業務終盤を迎えると、ようやく目を奪われる不審者が現れました。