カルト宗教の元信者は、なぜアンチに転じるのか? 元2世信者が「信仰を失う4つのプロセス」を図解!
そして信仰心を失う側の人が到達するのが、「ダークサイド期」である。なぜダークサイドに堕ちてしまうのか? その理由はカルトと呼ばれる宗教にこそ、黒い側面があるからだ。
「ニュートラル期」では、先ほどもお伝えした通り、信者は「この教えが道徳として正しいか?」ということについてずっと悩んでいるのだが、その宗教を知れば知るほど、いろいろ気づいてしまうのである。
カルト宗教は、たいてい深く調べていくと、昔と今の教えが矛盾していたりする。ということは、昔と今の教え、いずれかは「嘘」になる。しかし、神や仏という完全無欠な存在が嘘をつくわけがない。はい、信者の脳がバグります。
それどころか、ネットでちょっと調べたら、自分たちが知らされてこなかった教団の黒いスキャンダルやウワサが、あれよあれよと出てくる。その時、信仰心が揺らいでいるような信者は思うのだ、「自分が騙されていた!」と。
その日、信者は月に向かって雄叫びを上げ、血の涙を流しながら、教祖を抹殺することを誓うだろう。ネットでたまに見かける元信者のアンチたちが、教えの矛盾を列挙し、常に「あの宗教を一刻も早く潰さなくては!」というテンションで話しているのは、こういった悲しいストーリーがあるからだ。
1世信者で子どもを宗教に巻き込んでしまった人、一般の人を勧誘して信者にしてしまった人、宗教の学校に通った人、教団の職員になった人などなど。他人をカルト宗教に巻き込んでしまったり、人生の膨大な時間をカルト宗教に捧げた人ほど、ここに到達した時のダメージは大きい。天国に行こうとしていたはずが、気づけば地獄に足を突っ込んでいるという悲劇である。
「宗教とかどうでもいいじゃん」達観期
そうして、ダークサイドに堕ちた者が次に到達するのが「達観期」である。
ダークサイドの深淵に到達した人間がある日、窓の外で陽光の中さえずる小鳥を眺めながら気づく。宗教とかあの世とかどうでもいいじゃん、とりあえず頑張ればいいんじゃね? と。
要は「立ち直る」ということなのだが、これまで宗教の教えや、関連本の中に救いを求めていた人が、特に何を教わるわけでもなく、自分の力で立ち直るのは、ものすごい成長なのである。
またこの段階は、スピリチュアルとの決別を意味する。実はダークサイド期の人たちは、「あの宗教は間違ってたけど、神様っていると思うの。だってそう感じるんだもん」などと、口走ることは珍しくない。それほどに、一度取り込んでしまったスピリチュアルの毒素を抜くというのは難しいのだ。スピリチュアル的なことを考えず、ただ前を向くというのが、この段階に到達する条件だろう。
そんなこともあり、いざ宗教が間違っていると感じても、この「達観期」に到達できる者は、まあ少ない。ダークサイド期の渦中で、ずっと憎しみを抱えて生きていく元信者は、本当に多いと思う。