コラム
老いゆく親と、どう向き合う?

「父ちゃんが浮気してる」「女の人が来てる」幻覚に苦しむ認知症の母に、“写真”に撮って確認させた

2021/08/01 18:00
坂口鈴香(ライター)

 母親はパーキンソン病に加えて肺高血圧症がわかったときに、余命2年と言われていたという。実際に亡くなったのは、4年後だった。

「パーキンソン病で体が動きづらいうえに、肺高血圧症で息が苦しいという二重苦で、『生きてるのはつらいだろうな』と思っていました」

 母親の死後、井波さんはくだんの落書きノートにこんな言葉があるのを見つけた。

「『1日でも長く生きたい』と、これも震える字で書いてあったんです。ものすごく意外でした」

 自分でもそんなときが来たら、そう思うのだろうか……それはまだわからない。でも母親からも、父親からも、大切なことを教えてもらったと思う。そう締めくくって、井波さんは前を向いた。

坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2021/08/01 18:56
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