サイゾーウーマンカルチャー社会甲子園は「感動ポルノ」ブラバン×チア対談 カルチャー 「高校野球」ブラバン×チア対談 『アメトーーク!』で3年ぶりに「高校野球大好き芸人」放送中! 元ブラバン&チア部は「野球部の特別視に違和感」ある!? 2021/08/05 23:20 サイゾーウーマン編集部 カルチャー社会 8月5日放送のバラエティー番組『アメトーーク!』(テレビ朝日系)にて、3年ぶりに「高校野球大好き芸人」が企画された。アンタッチャブル・山崎弘也、TIM・レッド吉田らが高校野球の魅力について語り合う、同番組でも人気の高いテーマだ。 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、昨年8月に開催予定だった「第102回全国高等学校野球選手権大会」は中止に。しかし今年は、一般チケットの販売を行わず、学校関係者や保護者のみ入場を認める形で、8月9~25日に阪神甲子園球場にて大会が行われる。高校球児やその保護者にとっては喜ばしいことだろうが、果たして“応援する側”の生徒たちは、この判断に何を思うのだろうか? サイゾーウーマンでは昨年、かつて高校野球の応援に「駆り出されていた」という、元吹奏楽部&元チアリーディング部の対談を実施。「内心『負け』を願っていた」「野球部だけが特別視されることに違和感」などの本音が飛び交った同記事を、あらためて掲載したい。 (編集部) ***** akkiraさんによる写真ACからの写真 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月に開催予定だった「第92回選抜高等学校野球大会(センバツ)」中止に続き、8月の「第102回全国高等学校野球選手権大会」いわゆる「夏の甲子園」も中止となった、2020年の夏。7月以降、全国各地で代替大会が行われているほか、8月10〜17日には、センバツへの出場が決まっていた全32校による「2020年甲子園高校野球交流試合」が無観客で開催され、高校球児たちが汗を流していた。 甲子園といえば、吹奏楽部やチアリーダーがアルプススタンドで応援のパフォーマンスを行う光景もおなじみになっているが、今年は無観客試合となり、現地での応援はなし。「応援団がいなくて残念」という声もあるが、実際にスタンドから高校球児を応援していた人たちは、どのような思いがあるのだろうか。今回は、元当事者たちに、リアルな実情や本音をぶちまけてもらった。 <座談会参加者> A子:関東近郊の某公立高校、吹奏楽部出身 B美:地方都市の某私立高校、チアリーディング部出身 野球応援に“駆り出される”私たちのホンネ ――別々の部活に所属していたお二人ですが、「野球部を応援する」という同じ活動をしていたんですね。 A子 私が所属していた吹奏楽部は、顧問の方針もあって、高校野球の応援によく駆り出されていました。でも、炎天下での演奏は大変だし、自分たちだって大会の練習があるのに……と、正直モヤモヤする時もあったりして。 B美 私はチアリーディング部として、野球部の応援に行きましたね。当時はこれも活動の一つだと思っていたし、普段の練習よりラクっちゃラクだったので、それなりに楽しんでいたかな。でも引退してから、メディアが応援も含めて感動を煽るような取り上げ方をしていて、すっかり高校野球が苦手に……(笑)。 ――今年は甲子園が中止になりましたが、各地で代替大会が行われていました。しかし、スタンドでの応援は自粛になり、SNSでは「応援がなくて寂しい」という声も見られます。一方、応援をする当事者からの声は、あまり表に出ません。 A子 応援に行くのが当たり前になっているので、本音では「行きたくねえ」と思っていても、大きな声では言いづらいです。うちの高校の吹奏楽部の場合、顧問が高校野球大好きで「みんなで行くぞ!」というテンションだったので、問答無用で応援に行かされていました。吹奏楽部のコンクールと日程がかぶったりしない限りは、原則全員参加で、「行かない」という選択肢はない。でも、自分たちだって夏にコンクールを控えているんです。野球部が頑張っているのもわかるけど、野球部が勝ち進むと自分たちの練習時間がなくなってしまうため、私は「この辺で負けてくれないかな〜」と思うことが結構ありました。 B美 ブラバンやチアって、高校野球の応援が「活動の一環」になっていて、「当然応援するもの」だと思いこまされていますよね。個人の気持ちはさておき、少なくとも建前としては、自分たちの学校のチームを応援する。でも、部活動の一環として強制的に応援させられている以上、内心「負け」を願うこともあります。 私がいたチア部でも「負けてほしい」とこっそり言っている子はいました。「スタンツ(組体操)やダンスがやりたくて入部したのに、なんで野球の応援しなきゃいけないの?」って。生真面目でストイックな子ほど、疑問を抱いていた印象です。それでも、応援しているうちに感化されてくるというか、「演技で人を元気にする、応援するのがチアというスポーツ」だと日頃から顧問に言われていたので、だんだん積極的に応援するようになっていました。一方で、野球部が勝ち進めば進むほど、自分たちの練習時間が減ってしまうことも頭にはありました。夏はチアも大きな大会を控えていましたから。 A子 ぶっちゃけ、「あそこの高校は野球部強くないから練習できていいよな」って思ったりしていました(笑)。野球部が負けてくれれば、自分たちの練習に時間を費やせるのにな、と。 B美 わかります(笑)。しかも野球の試合って長いし、延長戦になると3時間以上かかっちゃったりもして、当然決着がつくまでやるから、終わりの時間が見えない。生理中の野球応援が本当につらかったのを覚えてますね。 A子 どんなに延長して試合終了が遅くなっても、私のいたブラバンは球場から学校に戻って自分たちの練習をしなければならず、それが一番嫌でした。ブラバンはブラバンで大会を控えているので練習しなきゃいけませんが、体が疲れているから、100%の力では練習できないし、効率も悪い。ずっと残業しているようなもので、実のある練習になっていたのか疑問です。野球部の人たちは、今ごろ家に帰ってクールダウンしてるだろうなって思いながら、こっちは練習……。不公平だなあって思っちゃいますね。 B美 野球部のスケジュールにかなり振り回されますよね。野球の応援が好きな子はいいけど、そうじゃなければ納得がいかないと思います。 次のページ 応援したのに「うるさい」「やめて」と言われるブラバン 12345次のページ 楽天 セブンネット 熱闘甲子園 2019 〜第101回大会 48試合完全収録〜 関連記事 甲子園中止、今だから言える“チアリーダー”のホンネ……「男子の応援」に駆り出される女子が抱える、密かな葛藤甲子園の練習場に「女子マネジャー禁止」の令が示す、今後の高校野球の現場我が子を“ブラック部活”から救うために――保護者と顧問が「定時帰宅を徹底」するべき理由JKの「ブラックバイト・部活」に注意喚起! 優等生を良しとする「Seventeen」に募る不安『24時間テレビ』「感動ポルノ」を障害者はどう見るのか?――バニラ・エア騒動の木島英登氏に聞く