サイゾーウーマンコラム“中学受験”に見る親と子の姿不登校児のために親がすべきこと コラム “中学受験”に見る親と子の姿 「たまたま合わないだけ」……中学受験、不登校・引きこもりが「リセット」できる学校選びと“親がすべきこと” 2021/07/25 16:00 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) “中学受験”に見る親と子の姿 不登校児が小6の夏から受験勉強、その結果は⋯⋯ 真凛さんが言うには「自分はHSP気質(ハイリ―・センシティブ・パーソン=とても繊細)」とのこと。相手の顔色を気にしすぎる傾向があるため、直接、自分が怒られているわけでもないのに、誰かが怒られているのを見るだけで、とても辛くなったりするそうだ。 小学校のクラスではヤンチャな子が幅を利かせていて、真凛さん曰く「ワチャワチャ」していた空間に思えていたという。 「でも、J女は何て言うか、先生も生徒もすごくやさしくて⋯⋯。自由なんだけど、全体的に穏やかで、あったかい空気が流れていたんですよね。ここ、好きだなあ⋯⋯って思いました」 帰り際に案内役の先生から笑顔で「春にまたお会いしましょうね」って言われて、思わず「ハイ!」って返事をしていたという真凛さん。しかし、その時は6年生の晩夏。受験勉強的には時間がなくて、大変、不利な状況ではあるのだが、そこから真凛さんは、個別塾に通って、J女学院の過去問だけをやり込む作戦を取ったという。 そして、見事、合格。 「複数回入試のJ女学院で、3回試験を受けて3回目でどうにか合格しました。奇跡です(笑)。もしJ女学院に合格できなかったら、私は中学生になってもずっと引きこもりのまんまだなって思っていたので、本当によかったです」と真凛さん。 真凛さんの母である千夏さん(仮名)にも話を聞いた。 「不登校になって半年が過ぎたくらいですかね。真凛がふと『私、中学生になれるかな?』って言ったんですよ。ああ、真凛は中学生になったら『リセット』したいんだなって思いました」 そこで、いろいろな進路のパターンを模索し始めたという。その中で、J女学院に出会った千夏さんは「ここは娘に合う!」と直感。学校に事情を話し、“ひとり学校見学”を了承してもらったのだそうだ。そして、上記のような経緯をたどって、J女学院に入学。皆勤賞まではいかないものの、問題なく進級を重ね、現在、真凛さんは高3。大学進学に向かって頑張っている最中だ。 最後に母、千夏さんの言葉を紹介しておこう。 「もちろん、真凛が小学校に行けなくなって心配はしていたんですが、その時も私と夫はこう考えていました。『たまたま、今置かれた環境に真凛が合わないだけ。ならば、合う環境を探せばいい。焦らず、探そう』って」 もしかすると日本の教育は「周りに合わせる」ことを強いすぎている傾向があるのかもしれない。千夏さんの話を聞いて、私はますます、親の役割は「花が咲きやすい場所に子どもを置くこと」なんだなあと実感している。 前のページ12 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。 記事一覧 湘南オバちゃんクラブ 最終更新:2021/07/25 16:00 楽天 2022年度入試用 SAPIX中学受験ガイド まだ生まれて12年だもん、焦ることないよネ 関連記事 中学受験「“公立”中高一貫しばり」の落とし穴⋯⋯親にも言えない子どもの本音とは中学受験、偏差値ではなく校風重視で選んだのに、周りから「残念」と言われて⋯⋯中学受験、「大学付属校なら安心」は大間違い!? 進学校並みの厳しさに付属高校進学すら危ぶまれ⋯⋯中学受験の低年齢化が止まらない! 有名進学塾は小1段階ですでに定員オーバー、「落とし穴」にハマった親子も!?『ドラゴン桜』人気、リアル“東大合格者”の素顔! 中学受験を経た東大生の母が明かす「私のやったこと」とは? 次の記事 保奈美、離婚で文才爆発の「婦人公論」 >