サイゾーウーマンコラムおばさん、肥満、弱音……3つの呪いから解放 コラム 【サイジョの本棚・打ち合わせ編】 「自分よりやせてるか・太ってるか」ジャッジ地獄/どういう「おばさん」でありたい?/男の弱音って……【サイ女の本棚】 2021/07/17 14:00 保田夏子 サイジョの本棚 「おばさんになるな」に抗う、『我は、おばさん』 編集A 体の問題も深刻だけど、女性共有の呪いは「おばさんになってはいけない」だよね。あからさまに言う人は少なくなってるけど、あらゆる方向から巧妙に何重にも刷り込まれてると感じるよ。 保田 そんな意識にストレートに疑義を投げ込んでくるのが『我は、おばさん』(岡田育、集英社)です! 編集A 『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(田中ひかる、光集英社)、『おばさん未満』(酒井順子、集英社)などおばさんを真正面から取り上げた本はあるけど、これは最新版ね! 保田 この本は、本来は「中年の女性」という意味合いにすぎない「おばさん」という言葉に付着している侮蔑の意味合いと向き合いつつ、さっぱりと負のイメージを取り除いて、小説や漫画、映画からバラエティー豊かな中年女性像を提示してくれる。母や妻としてだけではない、ただの「中年女性」を描いた魅力的な作品ってたくさんあったんだな、って気づいたよ。 編集A いわば「おばさん像・古今東西カルチャーツアー」なんだね。この本は興味のあるパートから読めそうだし、次に触れたい作品を新たに知ることもできそうでいいな。 保田 さらに、著者の「どういうおばさんでありたいか」の表明でもある。岡田氏の描く、上の世代と下の世代をつなぐシスターフッドの中継地点としての「おばさん」像、私は素直に格好いいと思えたし、読後は「年を取るのも悪くない」って感じることができたよ。 (保田夏子) 次のページ 今回紹介した3冊 前のページ1234次のページ 関連記事 宇佐見りん『推し、燃ゆ』で描かれる、誰かを「推す」ことの不毛さと偶像を尊ぶアイドルファンのリアル「普通のおばちゃん」が“やりたい”を貫く7年半――『お遍路ズッコケ一人旅』で描かれた40代女性の情熱本国で13万部の大ヒット! 注目の韓国文学『わたしに無害なひと』が、“私たち”に響くワケ『しらふで生きる』レビュー:酒、趣味、人間関係に無意識で依存している人に響く「解脱」までの日々『私がオバさんになったよ』レビュー:“排他的な日本”を生き抜く上で、最も必要なスキルは……