【サイジョの本棚・打ち合わせ編】

「自分よりやせてるか・太ってるか」ジャッジ地獄/どういう「おばさん」でありたい?/男の弱音って……【サイ女の本棚】

2021/07/17 14:00
保田夏子

「おばさんになるな」に抗う、『我は、おばさん』

編集A 体の問題も深刻だけど、女性共有の呪いは「おばさんになってはいけない」だよね。あからさまに言う人は少なくなってるけど、あらゆる方向から巧妙に何重にも刷り込まれてると感じるよ。

保田 そんな意識にストレートに疑義を投げ込んでくるのが『我は、おばさん』(岡田育、集英社)です!

編集A 『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(田中ひかる、光集英社)、『おばさん未満』(酒井順子、集英社)などおばさんを真正面から取り上げた本はあるけど、これは最新版ね!

保田 この本は、本来は「中年の女性」という意味合いにすぎない「おばさん」という言葉に付着している侮蔑の意味合いと向き合いつつ、さっぱりと負のイメージを取り除いて、小説や漫画、映画からバラエティー豊かな中年女性像を提示してくれる。母や妻としてだけではない、ただの「中年女性」を描いた魅力的な作品ってたくさんあったんだな、って気づいたよ。

編集A いわば「おばさん像・古今東西カルチャーツアー」なんだね。この本は興味のあるパートから読めそうだし、次に触れたい作品を新たに知ることもできそうでいいな。


保田 さらに、著者の「どういうおばさんでありたいか」の表明でもある。岡田氏の描く、上の世代と下の世代をつなぐシスターフッドの中継地点としての「おばさん」像、私は素直に格好いいと思えたし、読後は「年を取るのも悪くない」って感じることができたよ。

(保田夏子)