“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験の低年齢化が止まらない! 有名進学塾は小1段階ですでに定員オーバー、「落とし穴」にハマった親子も!?

2021/05/23 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

年少から習い事多数、小1で塾に入れたものの⋯⋯

 太郎君(仮名)という一人息子を持つ咲子さん(仮名)も、裕奈さんと同じように、中学受験熱が強い地域に暮らしている一人である。

「ウチも息子には中学受験をさせようと思っていたんです。ただ、年少さんから水泳にサッカー、習字とピアノもやっていたので、小1で中学受験塾に入れる気はなりませんでした。ところが、まだ小学校に入学する前の秋の時点で、有名塾Sの最寄駅校舎は定員に達してしまうといううわさを聞きつけたもので『大変だ!』と思って、慌てて駆け込みました」

 そんな太郎君は、現在、小学6年生。いよいよ最終学年になったが、咲子さんの表情は冴えなかった。

「太郎の成績がここ最近、まったく伸びなくて⋯⋯。小1で入塾したこともあってか、太郎はずっと成績上位で、それをキープしようと思ったらしく、4年生で自ら全ての習い事をやめ、受験塾1本に絞って、すごく頑張っていたんです。当時は、先生たちも『この調子でいけば超難関校Kも夢じゃない!』ってすごく褒めてくださっていたほど成績は良かったんですが、5年生になると成績がズルズルと下がるようになって⋯⋯。太郎は幼い時から、要領がいいとはいえない子なので、それで余計に可哀想になってしまいました」

 その頃から、太郎君は成績順の最上位クラスから、徐々に下位のクラスに“格下げ”になるようになったという。


「つらいのは、太郎が真面目に努力した結果がこれってことです。毎日、頑張っているのに、クラスは下がる一方で⋯⋯。最近では、仲が良かった最上位クラスのクラスメートたちにも、学校で相手にされなくなってしまったようで、余計に疎外感を持ってしまって、元気がないんですよね」

カンペキ中学受験2022