サイゾーウーマンコラム悪女の履歴書「男の宿命的な性」への憎しみ コラム 高橋ユキ【悪女の履歴書】 夫殺し未遂の女医が語った「男の宿命的な性」への憎しみ――女たちの同情を集めた公判【神戸毒まんじゅう殺人事件:後編】 2021/05/04 19:00 高橋ユキ(傍聴人・フリーライター) 悪女の履歴書 全ての男への「諦め」にも似た気持ち ふるさとで静かに余生を送ると思いきや、花子は1948(昭和23)年に地元の市会議員選挙に出馬するという行動に出る。最高点で当選し、35議席の中の紅一点として活躍した。 朔風冷たい大陸にすっかり痛む心を癒やした花子は、高知で人事相談所を設けて華やかな人生の陰に泣く人々のために親身になって世話し、講演活動も積極的にこなした。そのうち郷里出身の厚生大臣の尽力もあり、11年ぶりに晴れて医師として蘇ったのだ。 事件から数十年が経ち、56歳となった花子は、毎日新聞高知版での、当時の日赤高知病院勤務の医師との新春女性対談にて、その昔を思い起こさせる発言をしている。毒まんじゅうにて無関係の人間を巻き添えにした罪を償い終えてもなお、その憎しみの源となった橋本への、また全ての男性への諦めにも似た気持ちを抱き続けていた。 「男が浮気するのは当たり前ですよ。男の本能は多角的放散的で、女を見ると『ちょっといけるな』あんな女と遊んで見たいという気を起こす。(中略)この正体を女が理解していないと大変な家庭騒動や悲劇が起こります。男は軽い、いたずらっ気で一晩遊んで来たのが、妻にとっては十何年心から信じていた夫に裏切られたと思い込んだり、自分は捨てられたんだと思ったりする。(中略)男の宿命的な性を、女は十分腹に入れてやたらに角を出さずに女の性を守って生きていくことです」 参考文献 「週刊朝日」(朝日新聞出版)1940.3.3 「サンデー毎日特別号」(毎日新聞出版) 1957.5.1 前のページ123 高橋ユキ(傍聴人・フリーライター) 傍聴人・フリーライター。2005年に傍聴仲間と「霞っ子クラブ」を結成(現在は解散)。著作に『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)など。好きな食べ物は氷。 記事一覧 X:@tk84yuki 最終更新:2024/04/18 11:58 楽天 たしなみについて 女の「たしなみ」とか「わきまえ」とか男の自己弁護に使わないでくださる? 関連記事 「5歳児餓死事件」赤堀恵美子と同じく洗脳・支配……「福岡4人組保険金連続殺害事件」の死刑囚・吉田純子とは?「オレの正体をいま話して聞かせる」94歳オンナ詐欺師、最後の大ボラ! 商店街を主婦を巻き込む大脱走劇【岡山・高齢女性詐欺師:後編】94歳、“オンナ詐欺師”の仰天「ホラ吹き」人生ーー「年寄りには親切に」を逆手に【岡山・高齢女性詐欺師:前編】女詐欺師が語った「男性に愛されるための研究」と「男に可愛がられた私」の記憶【熊本:つなぎ融資の女王】ミイラ化した全裸死体ーー離婚した女二人の同居生活、消えた女と庭の遺体【藤沢つづら詰め殺人事件:前編】 次の記事 声優が変わって一番ショックを受けたのは? >