サイゾーウーマンコラム東京・港区で起きた「死体遺棄」事件 コラム 【連載】傍聴席から眺める“人生ドラマ” “超セレブタウン”東京・港区で起きた「死体遺棄」事件――87歳の姉を3カ月遺棄した、85歳被告の言い分 2021/05/03 15:00 オカヂマカオリ(ライター) コラム傍聴席から眺める“人生ドラマ” 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。 「東京高等地方簡易裁判所合同庁舎」Wikipediaより 【#014号法廷】 罪状:死体遺棄 被告人:H志(85歳) <事件の概要> 公営アパートで、姉(死亡当時87歳)と2人暮らしをしていた被告・H志(85歳)。シルバー人材センターなどで働きながら姉の介護をしていたが、姉は4月に死去。しかし、遺体は8月まで自宅に放置され、発見された時は白骨化していた。死因は不詳(殺人ではない模様)。 “超セレブタウン”で起きた死体遺棄事件 裁判所に行くと、まず当日の法廷スケジュールが書いてある「開廷表」をチェック。これを見て、どの裁判を傍聴しようか決めます。ただ、ここには法廷番号と罪名、被告人の氏名ぐらいしか記されていないので、報道されるほどの有名事件じゃないと、審議が始まるまで詳細がわかりません。 傍聴していると、この事件は東京・港区の超セレブタウンで起こったことがわかり、「あの高級住宅街で死体遺棄!?」と驚きましたが、舞台は公営住宅。麻布で生まれ、洋服の仕立て職人をしていたという被告のプロフィールから、戦後の復興から高度成長期で湧く東京を、最前線で見ていた人なのでしょう。犯行現場でもある公営のアパートで、姉と同居を始めたのは1990年。バブル経済がピークの頃です。 シルバー人材センターなどで働きながら、日に日に弱っていく姉の介護をしていた被告。病院にかかることを勧めたそうですが、姉が嫌がり、ほかに身よりもないため自宅で世話を続け、そのまま死亡したとのこと。 遺体を放置した理由が「自分の介護が不十分だと思って、(死んだのは自分のせいだと)責任を感じて、相談できなかった」ということからも、2人は決して不仲ではなかったとわかります。こういう場合に疑われがちな年金の不正受給もなかったといいます。 次のページ 被告はなぜ、姉の遺体を放置したのか? 12次のページ Yahoo セブンネット 東京カレンダー 2021年6月号 関連記事 「酒を飲んだり、不倫するのが“男らしい”と思ってた」53歳の元公務員、準強制性交容疑で語られた「2人の愛人」と「ED治療」家族のケンカが裁判に発展! 法廷で「茶番」を主張した46歳の息子、「こうやって懲役に行かされる」実例6歳の幼女にディープキスした86歳老人――「かわいがりすぎた」「甘えてきたから」法廷での呆れた言い訳“トリプル不倫”に巻き込まれ、ストーカーになった59歳のオンナ――「都会的モテ男」が法廷で見せたウラの顔“神待ち”で出会った15歳の少女を「引き取って育てる」――孤独な青年が起こした「未成年者誘拐」事件