サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー勤務初日で辞めたいという18歳 芸能 『ザ・ノンフィクション』レビュー, 『ザ・ノンフィクション』勤務初日で辞めたいと言う18歳「新・上京物語 前編 ~煙突とスカイツリーと僕の夢~」 2021/03/29 18:24 石徹白未亜(ライター) 『ザ・ノンフィクション』レビュー 18歳で社会に「出る」問題点 仕事は「はじめはできなくて当然」だ。一方、一摩のように初日で見切りをつけそうになる若者も少なからずいる。見切りをつけるのがいくらなんでも早すぎるのだが、そういう若者は「はじめはできなくて当然」という言葉を聞いたことはあるものの、実際の体感覚としてまるでわかっていないのだと思う。 徐々にやれるようになっていくことをわかっていないから、すぐ「向いていない」「辞めたい」と言い出してしまったり、実際に逃げてしまうのだろう。しかし私自身も18歳の頃を振り返ると、一摩のことを言えないくらい右も左もわからない若者だった。 18歳は選挙権もあるというのに、なぜ、こうも右も左もわからないくらい「幼い」のか。それは、若者がそれまで過ごす学校社会と実際の社会が分断されすぎているせいもあるように思う。多くの高校が学業優先のもと、アルバイトを禁止している。 そのため、一摩のように多くの若者が「できない自分が情けなくて恥ずかしい」と思いっきり冷や汗をかくのは、高校を卒業し大学生や専門学校生になりアルバイトをしてから、もしくは、高校を卒業し就職し社会に出てからと、高校を卒業してからなのだ。 個人的に、これは遅いのではないかと思う。学校の勉強をいくら頑張ったところで身に付かない、社会特有の「はじめはできなくて当然」の感覚を、もっと早くから体でわかっていたほうが、「はじめはできなくて当然」を「人生の挫折」や「自分は社会生活や働くことに向いていない」とまで大げさに勘違いしてしまったり、働くことに対し不必要に怯えずに済むのではないだろうか。 なお、厚生労働省が2020年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、新規大卒就職者の就職後3年以内離職率は、32.8%だという。実際の仕事や職場の人間関係がイヤだったのなら仕方がない離職だが、このうち、一摩がそうなりかけたような「はじめはできなくて当然」がわかっていないうえでの離職も少なくないように思う。これは本人にもそうだし、雇用する側にしてもとても不幸なことだと思う。 次週の『ザ・ノンフィクション』は今回の後編。東京で修行を続ける一摩だが、北海道で暮らす祖父のガンの病状は悪化していってしまう。 前のページ12 石徹白未亜(ライター) 専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。 記事一覧 X:@zPvDKtu9XhnyIvl いとしろ堂 最終更新:2021/03/29 19:37 楽天 100人のトップシェフが選ぶベストレストラン東京シェフ推し 雇う側も、新人がなにかできるなんて期待してないよ? 関連記事 『ザ・ノンフィクション』2万1,701人の、日本で就学不明の外国籍の子ども「ふたりの1年生 ~新米先生と海の向こうから来た女の子~」『ザ・ノンフィクション』東北出身者に「地震のとき大丈夫でしたか?」と聞くことの重さ「わすれない 僕らが歩んだ震災の10年<後編>」『ザ・ノンフィクション』令和にスマホ没収、丸刈りの過酷な修行生活「ボクらの丁稚物語 ~泣き虫同期 4年の記録~ 後編」『ザ・ノンフィクション』うつ病を抱える夫、支える妻の生活「シフォンケーキを売るふたり ~リヤカーを引く夫と妻の10年~」『ザ・ノンフィクション』2020年ベスト・セレクションレビュー「お父さんと13人の子ども 」「シングルマザーの大家族 ~パパが遺してくれたもの~」ほか 次の記事 ウィリアム王子、世界一セクシーなハゲに >