『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』うつ病を抱える夫、支える妻の生活「シフォンケーキを売るふたり ~リヤカーを引く夫と妻の10年~」

2021/01/18 17:57
石徹白未亜(ライター)

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。1月17日は「シフォンケーキを売るふたり ~リヤカーを引く夫と妻の10年~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 久保田哲49歳。東京、青梅市でシフォンケーキを販売している。焼き芋屋のようなリヤカーにシフォンケーキを積み、日々気ままなルートで地元を行商して回っているが、その姿を見て駆けつけてくる常連もいる人気ぶりだ。通常のシフォンケーキより焼き時間が短く、しっとりした口当たりが特徴で、リヤカーでの販売以外にも工房やイベントでの直販、通信販売を行っている。

 哲はもともとIT企業で働いており、30代ながら赤字事業を次々と黒字化させ、会社ではナンバーツーとも呼ばれたやり手だった。妻のかおりは会社員時代の部下になる。しかし結婚から4年後、2009年に哲は職場の人間関係の悩みからうつ病を発症し退職する。哲は当時の自分を「マイナスの思考の連鎖が勝手にぐるぐるぐるぐる回って」「こんな状態で生きている価値があるのか」と振り返り、「自分の足で生きている」実感がある仕事に憧れを抱く。

 そのような中で、哲はかおりの母親が焼いたシフォンケーキに出会い「これだというより、これでいいや」と、シフォンケーキ屋を始める。リヤカーによる行商も、元手がかからないことや、車の運転は哲の精神的に負担になること、そして外を歩くことでのうつの改善を狙ったものだという。

 うつ病を患う哲の決断を、否定するわけにもいかないかおりは会社勤めを続けながら見守るだけだったが、行商を始めて哲が元気になっていくのを見て、かおりも仕事を辞め、2人でシフォンケーキ店を切り盛りするように。


 しかし、新型コロナウイルスの影響が直撃。地域、および店の活性化のため、哲は地元の映画上映イベントを立ち上げ、その準備に奔走する。この状況について哲は、「マイナスの状態に手を打ち続けていかないといけない感じが、(会社で)うつになったころと似ている」と語り、かおりも気が気でない。

 2020年11月、池袋で開催されるイベントでの直販において、かおりは先に現地でシフォンケーキを販売し、哲は自宅のある青梅から池袋までリヤカーで丸1日かけてたどり着く。シフォンケーキは無事完売した。

「うつ病の夫」に妻がすべきこと、してはいけないこと