未明の伊勢崎で山口組と稲川会が大乱闘! 元極妻が語る、ヤクザが抗争を起こすワケ
連載100回を記念して、「元極妻だけど何か質問ある?」みたいなのをやってみようかと編集者さんに思いつきでお話ししたら、採用されてしまいました。
冷静に考えると、わりと大それたことをしていますね。1通も来なかったらヤラセで応募しようとかわりと本気で考えていたところ、すでにご質問をいくつかいただいているようで、本当にありがとうございます。
今回は先着順で、2つお答えさせていただきます。
――NHKの朝ドラ『おちょやん』で主人公・千代の弟ヨシヲは、家出して孤独だったところ、神戸のヤクザの親分らしき人に拾われて面倒を見てもらっていたようで、その組織の命令で千代の劇団を潰そうとしに来たという描写がありました。結局潰されなかったんですが、潰すとヤクザの利益になるんですか? ヤクザと興行が昔から関係が深いのはなぜですか?
おお、そんな話があるんですね、『おちょやん』。見てないからアレなんですけど、「潰しに来た」のは、自分の意思でなく誰かに頼まれたからですね。頼んだ人に「利益」があったのでしょう。
おそらくですが、千代さんのライバルの劇団の関係者が頼んだのではないでしょうか。多分モデルは吉本興業ですね。Wikipediaによりますと、『おちょやん』のモデルは松竹新喜劇の方ですが、松竹芸能と吉本興業の歴史的な対立は、ヤクザの間ではよく知られた話です。これもWikipediaに出ています。
ヤクザは自分から暴れることも少なくはないですが、誰かに頼まれて暴れることのほうが多いですよ。もちろん、お金になるからです。
次に、ヤクザと興行の関係ですが、これはかつてのヤクザは「興行中止のリスクを負える人」だったからだと思います。昔は、通信とか交通機関とか損害保険とかもろもろのインフラが整っていなかったので、興行の「雨天中止」はシャレになりませんでした。今ならコンサート中止などには専門の保険がありますが、昔はそんなものないですからね。ヤクザはそういうときのリスクも負っていたんです。
たとえば神社やお寺の境内で相撲の興行を打つときに、雨や力士のケガで「中止するかどうか」を考えなきゃいけない場合、「コワい人」が決めないと、モメる確率が高いです。テキヤさんはイベント会場で売る物も準備してますし、できるだけ苦情や損害が出ないように仕切るのが「親分の器量」というわけです。
松竹と吉本のような「引き抜き問題」なども優しい人じゃダメで、コワい人同士で話し合うんです。あと、そもそもいわゆる「芸人さん」はサラリーマンじゃないので、職場のルールを守れないとか時間にルーズだとかいろいろあるようです。そこをビシっと叱れるコワい人の存在は不可欠なのでしょう。