コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

古舘伊知郎に見る“女性差別”的思考……小川彩佳アナへの「自我が強すぎる」発言が意味するモノ

2021/02/11 21:00
仁科友里(ライター)
古舘伊知郎公式プロフィールより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「悪く言うと自我が強すぎる」古舘伊知郎
YouTubeチャンネル「古舘Ch」(2月8日)

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」と発言し、波紋を広げている。一応謝罪はしたものの、逆ギレのような印象を与える対応に、ネット上では辞任を求める声が上がった。都庁には抗議が殺到、オリンピックボランティアの辞退が続出し、各国の駐日大使館が抗議のTwitterデモを始めた。

 これだけ「差別を許してはならない」という動きが高まっているのに、肝心の国際オリンピック委員会は「絶対的に不適切」としただけで、森氏の処遇検討を求めず、経団連の中西宏明会長に至っては「まぁ、こういうのをわっと取り上げるSNSってのは恐ろしいですよね。炎上しますから」と、SNSが害悪であるかのような頓珍漢な発言をしている。経済界の元締めである経団連会長がこんなことを言っているくらいだから、オリンピックのオフィシャルスポンサーである企業から、森氏の責任を問う声が上がることはないだろう。

 今回の森発言のように問題視されることはないものの、女性差別だなと思わされるのが、有名人の不倫に対しての記事やコメントである。

 例えば、『NEWS23』(TBS系)のメインキャスターを務める小川彩佳アナの夫で、資産16億ともいわれる医療ベンチャー会社社長(当時)T氏が不倫をしていたことを「週刊文春」(文藝春秋)が報じた。小川アナは出産後3カ月でのスピード復帰。赤ちゃんを抱えての仕事復帰は想像を絶する大変さだろうが、夫はその間、妻を助けるどころか、緊急事態宣言中に不倫をしていたわけだ。「文春」によれば、不倫相手の女性の住居費まで負担していたという。

 当然、T氏は批判にさらされたが、夫が不倫を働いたとき、「妻に落ち度がある」と言う人が必ずいる。例えば、ニュースサイト「日刊DIGITAL」が、2月6日に「小川彩佳に屈辱の“サレ妻”レッテル…夫の初動ミスが致命傷」と報じている。記事では、家族問題評論家の池内ひろ美氏は「夜に妻がいないというのは(不倫の)リスクになる」とコメント。これを「妻が家にいないから、夫に不倫をする隙を与えた」と解釈していいかどうかは判断が分かれるところだが、池内氏は、午後11時のニュース番組に出演する男性キャスターの妻が不倫をしても「夫が家にいないというのはリスクになる」と言えるのだろうか。

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