サイゾーウーマン芸能韓流『パラサイト』を楽しむ“3つのキーワード” 芸能 [再掲]崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 『パラサイト 半地下の家族』を理解する“3つのキーワード”――「階段」「におい」「マナー」の意味を徹底解説 2021/01/08 21:30 崔盛旭(チェ・ソンウク) 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 (C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED 1月8日午後9時から『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が地上波初放送されている。昨年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した作品とあって、Twitterでは放送前から「パラサイト」がトレンド入りし、注目度の高さを証明した。 日本では昨年1月10日に封切られ、興行収入45億円を突破する大ヒットを記録。映画レビューサイトなどでも好評だったものの、韓国ならではの文化や、社会的な背景を理解していないと難解な場面もあり、ネット上では「話が難しい」「1回見ただけじゃよくわからない」などと困惑する声も少なくなかった。 サイゾーウーマンでは、映画研究者・崔盛旭氏の連載「崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』」にて、同作を3つのキーワードに分けて解説をしていた。作品をより楽しんでほしいという思いから、地上波初放送のタイミングで同記事を再掲する。 (編集部) (初出:2020年1月17日) 『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督が尊敬する“怪物”――キム・ギヨンが『下女』で描いた「韓国社会の歪み」 昨年のカンヌ国際映画祭でのパルム・ドール受賞をはじめ、今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞など6部門にノミネートされるなど、世界中で快進撃を続けるポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』(以下『パラサイト』)が、いよいよ日本でも公開された。 前回のコラムでは、監督の過去作『グエムル―漢江の怪物―』を取り上げ、彼の出自からつながる「反権力的なまなざし」について紹介したが、今回はいよいよ最新作である『パラサイト』を見ながら、この映画に描かれている「韓国」を考えていきたい。ただし本作は“ネタバレ厳禁”の箝口令が敷かれており、監督自身も観客へのメッセージで繰り返し注意を呼びかけているため、その点については本コラムでも“マナー”を守るよう努力したいと思う。 ネタバレすることなく映画の鍵を伝えるには、何をどう語るべきだろうか悩んだ挙げ句に思いついたのが、ポン・ジュノ監督自らが提示した3つのキーワードを手がかりにする方法だ。韓国での公開を前に、監督はこの映画のキーワードは「階段」「におい」、そして「マナー」だと語っている。すでに映画を見た人なら納得しているであろう、これらのワードを掘り下げることで見えてくる「韓国社会」への理解を深めた上で、映画をより楽しんでもらいたい。 <物語> ソウルの半地下の部屋に暮らすキム一家は、全員が失業中。ある日、名門大学に通う友人の紹介で、長男のギウ(チェ・ウシク)が、IT企業のパク社長(イ・ソンギュン)の娘ダヘ(チョン・ジソ)の家庭教師になった。それを皮切りに、キム一家は次々とパク社長の家に「就職」することになる。ギウの妹ギジョン(パク・ソダム)は、社長の息子ダソン(チョン・ヒョンジュン)の美術教師に、母チュンスク(チャン・ヘジン)は家政婦に、父ギテク(ソン・ガンホ)は社長の運転手に。こうして、出会うはずのない社会の頂点と底辺に位置する家族が出会ったとき、事態は思わぬ方向へと転回していく。 次のページ 社会的身分の上昇と転落を象徴する「階段」 12345次のページ 楽天 Yahoo パラサイト 半地下の家族 関連記事 カン・ドンウォン主演『新感染半島』は“分断された韓国”を描いた? 「K-ゾンビ」ヒットの背景を探る『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督が尊敬する“怪物”――キム・ギヨンが『下女』で描いた「韓国社会の歪み」映画『82年生まれ、キム・ジヨン』は“男性社会”を可視化する――制度だけでは足りない「見えない差別」の提示韓国映画『パラサイト 半地下の家族』のキーワード「におい」――半地下居住経験者が明かす“屈辱感”の源パルムドール受賞『パラサイト』を見る前に! ポン・ジュノ監督、反権力志向の現れた韓国映画『グエムル』を解説