2020年の女子アナを振り返る

小島慶子、小林麻耶、宇垣美里……もてはやされるフリー女子アナたちの“弱点”をえぐる!

2020/12/31 19:00
仁科友里(ライター)

その3:宇垣美里「ジェンダーレス時代に愛されるということ」

 テレビを見る人が減っているといわれて久しい中、新型コロナウイルスの流行により、さらにテレビ業界は景気が悪くなっているのではないか。こういう時代に、フリーランスのアナウンサーが生き残る手段の一つとして考えられるのが、「古巣と仲良くすること」だ。

 そんな中、ここ1年、テレビにあまり姿を見せなかったのが宇垣美里だ。この人は、TBSから独立後すぐに“やらかして”いる。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演した本人いわく、プロデューサーに、番組降板を直前になって告げられて「なんて失礼なことをするんだ」とご立腹。プロデューサーが買ってきてくれたコーヒーを「あなたからもらったコーヒーは飲めません」と流しに捨てたそうだ。宇垣はそのエピソードを、「私とプロデューサーの間の話が外に出ている時点で(TBSの)民度が知れるわみたいな感じ」とまとめていた。まぁ、宇垣も言えないことがたくさんあるのだろうが、古巣とのトラブルを明らかにすると、他局からも「同じことをされたら、たまらん」と敬遠されるのではないだろうか。

 オンライン「ViVi」で連載中のエッセイで、宇垣はこんなことを書いていた。

「虫を怖がらずむんずと手づかみで捕獲すれば『男らしい』、ぐちぐちと細かいことにずっと囚われている人のことを『女々しい』。サラダをタイミングよく取り分けるのがどうも下手な私は『女子力』がないのだろう。うんざりだ」


 人の内面や得意なことは、性別ではなく個人の素質であり、ジェンダーレスを歓迎している文章だと私は理解した。宇垣のこうした古い価値観を打ち破らんとする言動が、ファンから愛されているのだと思うが、そういう「レス」な時代でも、上司の性別は問わず、最低限の敬意を払うというのは必要不可欠なのではないか。自分の言い分が、正当であると心から思えるのなら、なおさら日ごろから周囲に信頼されるような態度、発言を心掛けなくてはいけないように思う。

【まとめ】
 今回取り上げなかった局アナだが、彼女たちは今まさに過渡期を迎えているのかもしれない。タレントがYouTubeで稼ぐという方式が一般的になり、芸能人の脱テレビは進んでいくと思われる。となると、「テレビ専属」である局の女子アナは、芸能人の代わりとして、よりタレント性が求められ、個性の強さが歓迎される。しかし、あまりにエキセントリックだと「美しく従順な女子アナ」を望む男性視聴者や年配の視聴者の心をつかめないし、ルックスやキャラで勝負しすぎるとアナウンサーとして伸び悩み、結果的に女子アナ生命を縮めることになりかねない。つまり、愛されなくてはいけないが、あまりに偏った愛され方は命取りといえるのではないか。その上、女子アナは組織の一員であるから、組織人として周囲とうまくやる必要もある。そのバランスを取るのがなかなか難しく、メンタルが削られるのかもしれないが、どうぞ来年もご活躍いただきたいものである。

仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/12/31 19:00
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