「元極妻」芳子姐さんのつぶやき95

役所広司、綾野剛、舘ひろし……イケメンが演じる令和の「ヤクザ映画」は抗争よりも人間を描く

2020/12/20 16:00
待田芳子(作家)

イケメン演じるヤクザに萌え(笑)

 以前からヤクザをテーマにした映画やテレビドラマはたくさん作られていますが、「暴排とか言って、カタギさんこそヤクザが好きなのね……」と上から目線にはなりませんよ。だって、どれもとってもおもしろそうです。

 『無頼』もですが、役所広司さんが「人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男」を演じる『すばらしき世界』(西川美和監督)も、とても楽しみです。佐木隆三さんの小説『身分帳』(講談社文庫)の映画化だそうですが、役所さんは殺人事件を起こして服役、出所して更生を目指す元ヤクザ・三上を演じます。この三上をテレビ番組のネタにしようとして近づくのが仲野太賀さんと長澤まさみさん。設定はとてもリアルですね。

 役所さんは、『孤狼の血』でもヤクザに限りなく近い刑事さんを演じておられますし、寂しいアウトローは適役ですね。ああ早く見たい……。公開は来年の2月だそうで、コロナが収まっているといいですね。

 そして、もうひとつは『ヤクザと家族 The Family』(藤井道人監督)ですね。

 家庭に恵まれない少年期を送ってヤクザになる主人公・山本を綾野剛さんが、山本を子分にする親分を舘ひろしさんが演じるそうで、それだけでもうワクワクしますね。綾野さんは、ヤクザ役は初めてだそうですが、『日本で一番悪い奴ら』(白石和彌監督)で悪徳刑事を演じていますし、舘さんはナント43年ぶりの「ヤクザ役」なのだそうです。


 公式サイトによると、「ヤクザという生き方を選んだ男の3つの時代にわたる物語」だそうで、ざっくりいうと少年期→ヤクザでブイブイいわして結婚、懲役→出所したら暴排で「ヤクザ瀕死」でびっくり、みたいな流れのようです。

 ちょっとイジワルを書いちゃうと、公式サイトの暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の解説が「1992年、2012年に施行。暴力団の無力化に大きく役立ち、企業や地域社会への影響力を減じる契機となった」とあって残念でしたね。たしかに暴対法は1992年施行ですが、「2012年」というのは全都道府県が制定している「暴力団排除条例」のことですね。これは、「2011年」秋までに全都道府県で制定されています。

 都道府県議会で制定できる条例は、国会で決める法律よりも手続きがラクですし、「暴力団員だけ」を規制する暴対法と違って、「暴力団員と交際するカタギさん」も処罰の対象にしているので、むしろ破壊力は暴対法より上なのです。考えた人は頭いいなあ……とマジ思います。こちらの映画も来年1月下旬公開だそうで、待ち遠しいです。

 以前書かせていただいたテレビドラマ『極主夫道』(日本テレビ系)もですが、イケメンさんが演じるヤクザはいいですね。高倉健さんや鶴田浩二さんとはまた違うかっこよさにしびれます。

待田芳子(作家)

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2020/12/20 16:00
ヤクザ映画ブーム?