コラム
[再掲]『おちょやん』リアル人生
『おちょやん』トータス松本の「児童虐待」ぶりに批判噴出! 浪花千栄子の実父「激ヤバ」ぶりを暴く
2020/12/05 17:00
そして、この「おちょやん」自体が激ヤバなんですわ。
NHKの公式サイトでは「“おちょぼさん”がなまった大阪ことばで、茶屋や料亭などで働く、小さい女中さんを意味」するとごまかされていますが、実情は、店の労働者カースト最下層の児童労働者です。児童福祉法なんて存在すらしなかった時代の産物ですね。
「トメ」とか「ウメ」とか、そういう名前で呼ばれさえせず、そもそも名前を覚えてもらえることが期待できない。一律、「おちょやん」として呼ばれ、こき使われ、布団で寝させてもらうわずかな時間以外に、まともな休憩時間がない。それこそ、「私が死んでも代わりはいるもの」(『エヴァンゲリオン』 綾波レイ)的な存在でしかない。
取替可能、存在価値が低いので、大事になどされません。休憩しようと思ったら、便所で仮眠するしかない。いうまでもなく、当時のトイレは汲み取り式。悲惨すぎます。「おちょやん」は、「名前を失った少女」と考えてもらって結構かと思います。
自分を押し殺し、奉公し続けるしか生きる術のない、それは苦しい日々だったようです。しかし、芝居に興味を持ちはじめた浪花さんは、文字さえ読めない自分から脱却するべく、独学で漢字を勉強しはじめます。それも汲み取り式の便所の個室で、でした。
『水のように』には何回も自殺未遂のシーンが出てくるのですが、やっぱり「おちょやん」時代にもそういう気持ちになってしまうことがありました。