『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』人の死を待つ移植待機患者の葛藤「私、生きてもいいですか ~心臓移植を待つ夫婦の1000日~ 前編」

2020/11/16 17:22
石徹白未亜(ライター)

「あげる」「あげたくない」どちらの意思も等しく尊重される

 なお、日本では1997年に臓器移植法が成立し脳死後の臓器提供が可能となり、99年、初の臓器移植手術が行われた。脳死の定義について日本臓器移植ネットワークのホームページでは「脳死とは、脳の全ての動きがなくなった状態です。どんな治療をしても回復することはなく、人工呼吸器などの助けがなければ心臓は停止します。回復する可能性がある植物状態とは全く別の状態です」と記載されている。

 日本はドナー提供者の数と移植希望者の数に開きがあり、心臓移植待機患者886人(2020年10月末時点)に対し、19年の心臓移植数は84例にとどまると紹介されていた。容子は看護学生を前にした講演の際、臓器提供意思表示カードについて「(臓器を)『あげたい』『あげたくない』『もらいたい』『もらいたくない』どの選択も意思として等しく尊重される権利が保障されています」と話した。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は今回の続編。待機生活が5年を超え、移植の順番が近づいてきた容子だったが、心が深く傷つくような出来事が起きてしまう。

臓器移植ネットワークホームページ

石徹白未亜(ライター)

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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いとしろ堂

最終更新:2020/11/16 17:40
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