コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
難関私立中に合格したのに、“中堅大学”に進学……4浪の息子は「中学受験の燃え尽き症候群」だった
2020/11/15 16:00
X学園は、東大をはじめとする難関大学に合格者を出している全国でもトップクラスの学校なので、みゆきさんいわく「同級生の大多数が、自分のプライドを満たせるような大学に入学」するという。
高3になった海斗君は、願書を出した大学にどこも合格せず、浪人へ。そして、4浪めだった今年、志望校の偏差値を大幅に下げた、ある中堅大学に合格し、進学する運びとなっていた。しかし、コロナ禍で大学がクローズ状態となった影響もあり、大学が再開され始めた今でも、大学にはまったく行かずに、引きこもっているような状態だという。
海斗君のケースは、中学受験の合格で燃え尽きてしまって、その後、勉強に身が入らないという典型である。
みゆきさんは「学校が悪かったのか、親が悪かったのか、子どもが悪かったのか」と悩んでいるが、決して、少なくない悩みだということをお伝えしておきたい。
「子どもが中学受験合格後に燃え尽きないようにすべきこと」に答えがあるとしたら、筆者はこう思う。中学受験は結婚と似ている。ゴールではなくスタート。「結婚さえできたら、人生、万々歳」という考えが幻想であることは、結婚生活を経験した人ならばおわかりかと思うが、中学受験もそれと同じだ。
もちろん中学受験は過酷なので、親にはどうしても、「偏差値・知名度の高い有名大学に入ってほしい」という気持ちがあるのは仕方がないことかもしれない。しかし、それよりも前に覚えておかなければならないことがある。
「糸は張りつめすぎると、やがて切れてしまう」
未来は、無理なく楽しい毎日を送った、その先につながっていると思うのだ。
最終更新:2020/11/15 16:00