ムショでの読書は「親鸞」が人気!? 「慰問のプロ」杉良太郎とATSUSHIのオススメ本を、元女囚がジャッジ
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
「矯正支援官」のおすすめする本
「Go To」が盛り上がってるわりに、ムショは慰問もできひんようですが、俳優で「特別矯正監」の杉良太郎さんの発案で、ムショのための「読書の日2020」のポスターが発表されましたね。
杉サマは15歳から慰問をされている「慰問のプロ」で、芸能人の「矯正支援官」を任命して全国のムショに行ってもらってます。
ポスターでは杉サマほか、「矯正支援官」を務めるEXILEのATSUSHIさんやAKB48の向井地美音さん、コロッケさんとかがオススメ本を紹介していて、読書週間(10月27日~11月9日)中にムショなどに貼られるそうです。
杉サマは、ちゃっかり息子さんである山田純大さんの『命のビザを繋いだ男 小辻節三とユダヤ難民』(NHK出版)を紹介されてます。純大さんは俳優だけでなく、ノンフィクション作家としても評価されてるそうですよ。
ATSUSHIさん(『なぜ生きる』明橋大二・伊藤健太郎共著、高森顕徹監修/1万年堂出版)とコロッケさん(『大河の一滴』五木寛之著/幻冬舎)は「親鸞聖人」に関する本を推薦されていますが、実は男子刑務所では親鸞が人気らしいのです。親鸞の「悪人正機説(あくにんしょうきせつ)」は、「悪人は、善人以上に救われる」ちゅう意味で、懲役(受刑者)には都合がええとか。気になった方はググってみてくださいね。
杉サマは、「毎年やりたい企画」とおっしゃってるそうで、いつか瑠美の『女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)も紹介していただきたいです。
ムショでの読書は「仕方ないヒマつぶし」
ムショはスマホもないし、刑務作業以外はめっちゃヒマです。せやから読書は喜んでちゅうよりは、「仕方ないヒマつぶし」ともいえます。本好きでマジメなら、まずムショには来ませんし。
瑠美の場合は、当時の夫に頼んで、お料理や旅の本、やくざのノンフィクションやレディコミなどの漫画をよく差し入れてもろてました。何も考えてない夫がBL本を送ってきた時は焦りましたが……。
差し入れをしてくれるような家族や友達がいてない人は、ムショに備え付けてある本(官本)を読みます。施設によってもちゃいますが、予算の都合でセレクトが微妙すぎて、たいていは村上春樹さんの『ノルウェイの森』(講談社)とか大昔のベストセラーで、古くてボロボロです。でも、「かえってふだん読まない本を仕方なく読んだらおもろかった」みたいな話もあるんで、いろいろですね。