カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「ar」10月号

オタク女子は“あくまでオシャレに”が重要!? 「ar」推しカラー企画に思うこと

2020/10/04 16:00
島本有紀子(ライター)

 誌面を埋める苦肉の策が極まったかのような企画がもう一つ。それが、編集部員やライター、読者モデル、同誌常連ヘアスタイリストといった「ar」関係者が飼い猫の写真を自慢するページ「やっぱり猫が好きなのさ」です。総勢35匹の猫のプライベートショット(?)と、ご自慢コメントが並んでいます。

 最高に内輪ノリですが、猫なので、みなさん当たり前にかわいいです。猫には誰も文句は言えないだろう……という心理を利用した、素晴らしい誌面埋め策だと感じました。

推しカラーの流行を喜ぶ超特急オタク

 最後に見ていくのは、「推しカラーで彩る毎日。」です。推しのイメージカラーをいつも持ち歩きたいというオタク女子へ向けて、赤、黄色、オレンジ、ピンク、紫、青、緑、白、それぞれのファッションアイテムが紹介されています。

 昨年あたりから、通販サイトのフェリシモが、推し色ファッションブランド「OSYAIRO(おしゃいろ)」を立ち上げたりと、日常でも推しカラーをさりげなく身に着けるニーズが高まっている様子で、「ar」もその波に乗ったようです。

 さてこのページ、色ごとに「推しVOICE」も添えられています。推しVOICEとは、ファンが自分の推しと、その推しカラーをファッションやメイクにどう取り入れているかを語るコメントのことで、取り上げられている黄色推し代表のコメントは「バンドじゃないもん!」甘夏ゆずファン、オレンジはサッカー「清水エスパルス」ファン、紫は「A.B.C.-Z」の河合郁人ファン――といった、なかなかにコアな人選。

 なお、緑がイメージカラーの「超特急」草川拓弥ファンは、ピスタチオグリーンがはやっていることを受けて、「今まで勇気がなくてあまり服やメイクで取り入れられなかったけど、今年は拓弥くんカラーが流行ってくれて嬉しい!」とのこと。

 “オタクだけど、あくまでオシャレに”という感覚は、巻頭特集の“こじらせない程度に個性を”というラブっけ女子マインドに通じるところがありそうです。バランス感覚が大事な時代なのだなぁと考えさせられました。

島本有紀子(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。ファッションページから読み物ページまでチェックし、その女性誌の特性や読者像を想像するのが趣味。サイゾーウーマンでは、「ar」(主婦と生活社)と「Domani」(小学館)レビューを担当していた。

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最終更新:2020/10/04 16:00
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