「中学受験をやめる」小6秋の模試で、合格確率が80%超→20%に暴落……“コツコツ型”の娘が白旗をあげた日
そんなある日、美羽ちゃんの自宅に郵便物が届いたそうだ。差出人は塾の担任の先生。その中身は、美羽ちゃんが休んでいた10日分のプリントと手書きのメッセージ。さらに、美羽ちゃんが仲良くしている子たちのメッセージもつづられていたという。
「これを見て、美羽も私も泣きました……。本来ならば、ライバルは一人でも脱落してくれたほうが好都合なはずだと思うのですが、友達からのメッセージは違ったんです」
「待ってるからね。一緒にまた〇セン(〇先生)の授業で大笑いしよう!」
「美羽がいないとつまんないよ!」
「みんなで一緒にS学園に行こう!」
そして、最後に担任の先生の筆でこうあったという。「美羽ちゃんとこのクラスは私が合格させる!」と。
美羽ちゃんはこれを見て、薫さんに「覚悟が決まった」と言ったそうだ。
「美羽は、『こんなに思ってもらっているのに、泣いてばかりいるなんて申し訳なさすぎる! 私は絶対に頑張る!』と息を吹き返したんです」
先生も周りも、その日の授業から復帰した美羽ちゃんを何事もなかったかのように受け入れてくれたという。さらに担任の先生は、S学園志望者に「S学園スペシャル」という問題集を作り、配布してくれたそうだ。
美羽ちゃんは仲間たちとその答え合わせをするなどで、あらためてS学園に対する志望度を高め、過去10年分の過去問も順調にこなしていく。
そして、受験直前、塾の最終日。担任の先生は、クラスに向かってこう檄を飛ばしたという。
「今まで、何年もの間、あなた方は懸命に努力を重ねてきたということを先生は知っています。その途中では、何度も何度も『受験をやめよう』『やめてしまいたい』と思ったことでしょう。でも、あなた方は今、こうして、堂々と、明日の試験を待っています。これを何よりの誇りにして、明日は正々堂々と戦ってきてください。先生は全員が合格することを信じています!」