“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第523回】

皇室利用、報復人事、森友文書、Go Toイート……菅新首相の問題点を攻める「女性自身」

2020/09/15 21:00
神林広恵(ライター)
「女性自身」9月29日/10月6日合併号(光文社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 華原朋美の周辺にまたしても大トラブルが発生し、話題になっている。ベビーシッターの虐待疑惑に、そのシッターを紹介した高嶋ちさ子との絶交、所属事務所の契約解除――。まだ一波乱も二波乱もありそうだが、どうなるトモちゃん! そしてことの真相は!? でもこの人、やっぱりお騒がせなんだよね。好きなんだけど。

第523回(9/11〜9/15発売号より)
1位「雅子さまが危惧する菅新首相の「皇室利用」強権」
  「シリーズ人間“森友自殺”遺された妻・赤木雅子さん(49)、女ひとりで国に闘いを挑む「覚悟」の独占告白!」
  「「Go Toイート」の危陥穽!『高齢者切り捨て』と『12月危機』」(「女性自身」9月29日/10月6日合併号)
2位「嵐 二宮和也とメンバーの間にまたも“非情な”ディスタンス」(「週刊女性」9月29日/10月6日合併号)
3位「デヴィ夫人 59歳年下女子大生との驚同居生活1年4カ月」(「女性自身」9月29日/10月6日合併号)

 昨日14日、官房長官だった菅義偉氏が自民党総裁に選出された。新総裁の誕生に生い立ちがどうたら、人柄がどうたら、ファーストレディーが――などとヨイショ報道が溢れているが、今週の「女性自身」は攻めている!

 まずは新政権・菅首相の皇室利用の危惧を表明、これまで菅氏率いる官邸と皇室・宮内庁の対立について詳細しているのだ。その筆頭が上皇陛下の生前退位だ。そもそも宮内庁長官が2015年に上皇陛下の退位の意向を官邸に伝えたが、これを黙殺されてきた。そして16年7月になって、NHKが「生前退位ご希望」の第一報を打ったことで表面化するが、その裏でこんなことがあったと報じている。


「宮内庁側が世論を形成するためにリークしたと判断した菅官房長官は、(天皇の)ビデオメッセージ実現に尽力した風岡(典之)宮内庁長官を許さなかったのです。風岡氏は、定年のめどとされる70歳の誕生日を迎えた9月になるとすぐ退任させられました」

 これは露骨な報復人事の見方が強いと「自身」は記しているが、実際、宮内庁幹部の異動は春に行われるのが通例で、当時から官邸の報復人事だと大きな話題になっていた。しかも同時に、官邸は宮内庁に内閣危機管理監だった西村泰彦氏(第90代警視総監)を次長として就任させている。これは子飼いの人間を送り込んで宮内庁、そして天皇を監視する異例な人事だとも当時、指摘されたものだ。

 また「自身」は、内閣人事局創設での官邸による官僚支配にも触れ、こう指摘する。

「(安倍首相は)内政には疎く、官房長官の菅さんに丸投げ状態でした。すなわち菅さんこそが、この安倍政権の内政人事を握ってきたわけです」

 人事に長けた菅氏こそ、安倍政権の強権政治の源。そんな指摘だが、実際、菅氏はこれまでも自分に楯突く官僚は左遷し、意のままに動く官僚は昇進させてきた。そして、今回の総裁選でも官僚が反対したら「異動してもらいます」とも答えている。


 また記事では、宮内庁が反対した「皇居乾通り」の毎年開放の強行、東京五輪招致の際の高円宮妃久子さまのスピーチ問題などでの菅氏の強権ぶりを紹介、これに対し天皇陛下も雅子さまも危惧しているとも記されている。新政権発足、菅新首相の問題を皇室に絡めて記事化した「自身」。さすが皇室報道の女性週刊誌の面目躍如だ。

 そんな「自身」だが、ルポ企画「シリーズ人間」でも攻めている。何しろ取り上げている人物は赤木雅子さん。森友文書改ざん問題で自殺した近畿財務局職員だった赤木俊夫さんの妻だ。雅子さんは今年、俊夫さんが遺した遺書と手記を発表し、国などに対し裁判を起こしているが、このルポにはこれまでの苦悩の詳細が丹念に描かれている。著者は森友問題を追及し、また赤木さんの遺書と手記をスクープした元NHK記者の相澤冬樹氏。必読だ。

伏魔殿 菅義偉と官邸の支配者たち