サイゾーウーマンコラム認知症の父が避難所生活でみせた姿 コラム 老いゆく親と、どう向き合う? 認知症になった52歳の父、東日本大震災で避難所生活に――「でも父は、逆に生き生きとしていた」 2020/09/20 18:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う? 生き生きしていた避難生活 在宅介護中、自然災害にも遭遇した。東日本大震災だ。 麻美さんの家は、津波被害は受けなかったものの、原発事故により体育館に避難することになったのだ。認知症の義徳さんを連れての避難生活は、周囲に気を使うし、家族の心労も大きかったのではないだろうか――。ところが意外なことに、そうでもなかったという答えが返ってきた。 「父は、体育館内をウロウロと歩きまわっていましたが、特に周りに迷惑をかけることもなく、普段どおりおとなしかったですね。それどころか、逆に活躍してくれました。というのも、炊き出しの数時間前から並んでくれて、いつも一番に家族分のおにぎりやパンをもらってきてくれたんです。おそらく、家族のために並ぶというのではなく、無料で何かをもらえるということがうれしかったんだと思います。ほかにも、ボランティアの人にもらったぬいぐるみを上着に入れて持ち歩いていて、体育館では変なおじさんになっていたかもしれません(笑)」 体育館での避難生活は1カ月に及んだ。慣れてきたころには、貸し出されていた自転車で毎日、朝から夕方まで出かけていたという。 「お風呂には週に数回しか入れなかったので、近くの温泉に行っていたんだと思います。1カ月で帰宅できたとはいえ、夜は眠れないし、ずっと咳は出るし、食べ物は3食白いご飯のおにぎりか菓子パンだったので、避難所生活は私たちにはつらいものでした。でも父は、逆に生き生きと動き回っていた気がします」 生き生きとしていた父――想像すると、少し救われた気がした。 ――続きは9月27日公開 前のページ12 坂口鈴香(ライター) 終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。 記事一覧 最終更新:2020/09/20 18:00 Yahoo お父さんは認知症 父と娘の事件簿 田中亜紀子/著 生き生きとしてる姿に、なんだか救われてしまうね 関連記事 52歳の父が若年性アルツハイマーに……「まともな会話もできない」「無表情で無言」娘の感じた異変「母がネットワークビジネスにハマっていた」がん終末期に明らかになった、“常軌を逸した”投資金額「お母さんに告知しますか?」がんステージ4の母、要介護4の父――30代女性が抱えた両親の介護認知症の夫に“熟年離婚”つきつけたワケ……「怒鳴られても言い返さない」貞淑な妻の反乱老人ホームを拒否した娘、認知症の母の“最期”を迎えて――「ホッとした」と職場上司が語る理由 次の記事 メルカリは「いいね」に焦るべからず >