EXOやTWICEなど続々! ONF「Sukhumvit Swimming」から繙くK-Pop「レゲエ」のこれまで
ナイヤビンギではダンスやガンジャ(大麻)の吸引、食事、訓戒、祈り、音楽、霊感、社交、討論といった、ラスタファリアンたちにとって重要なことが行われ、以前からジャマイカにあったメントやジャズなどと結びつき「Ska(スカ)」という新しい音楽ジャンルが生まれます。
旧約聖書に出てくる文章をエチオピアと結びつけて解釈し、聖書の登場人物は本当は黒人で、後に書き換えられ白人とされているという考え方や、エチオピアを世界に離散した黒人の母国のように捉える思想を「エチオピアニズム」と言いますが、当時カリブの黒人社会に根強く残っていたエチオピアニズムをMarcus Garveyが拡大解釈し、黒人に対してアフリカに帰ることを奨励する考えがガーベイ主義として布教され始め、これにより初期ラスタファリ運動が始まります。
ちなみに、このラスタファリアニズムはレゲエはもちろん、Hiphopなど今日のブラックミュージック文化にもかなりの影響を及ぼしており、アフリカ系の人々のするドレッドロックスという髪型はラスタファリアニズムから来ています。 「忠実なる者は、刃を自らの頭にあてるべからず」という旧約聖書の教えに従い、ラスタファリアンは初期の頃から髪と髭を伸ばしていました。東アフリカのマサイ族とソマリ族の兵士の写真を見たラスタたちがその髪型を真似て、伸ばした髪を房に編んで垂らしたものがドレッドロックスになります。また、ジャマイカではまっすぐでつやのある髪がよいとされているため、この髪型自体が自由や社会的反抗のシンボルにもなっています。
大麻に関しても、儀礼の際は「聖なる草」と呼びジャー(神)と交流する秘薬・神聖なものとして扱いますが、ジャマイカでは大麻の吸引は法律で禁止されているため非合法です。もちろん宗教上の意味合いもありますが、こちらも社会への抗議として反抗手段を表すのにも使われています。
スカの話に戻ります。第二次世界大戦後からジャマイカではラジオの購入が増え、地理的に近いニューオーリンズなどアメリカ南部のラジオ局から当時はやっていたFats Dominoなどのリズムアンドブルースやジャズの楽曲を聞くことができました。スカは2・4拍目が強い、裏打ちのリズムが特徴ですが、この特徴は、電波が悪い環境でジャズを聞いたために2・4拍目が強調されて聞こえたとか、またナイヤビンギからの影響もあるともいわれています。
60年代に入り、スカはジャマイカの音楽シーンに広がり、イギリスから独立した62年には独立を祝うスカの楽曲がリリースされます。
■Derrick Morgan – Forward March (1963)
一方で50年代~60年代にかけて地方からキングストンに仕事を求める若年貧困層が大量に流入し、キングストン市内にはトレンチタウンやリバートンシティと言ったゲットー(貧困地域、転じて治安の悪いエリア)が発生します。イギリスから独立して世間は高揚ムードなのに自分の環境は一向に変わらないことなどに一部の若者はギャング化し、彼らはルードボーイやルーディ、スカフロウ(Scofflaw、常習的違反者)と呼ばれ、スカにもルードボーイの生活を歌詞に反映した楽曲がたくさんリリースされます。
■The Wailing Wailers – Simmer Down (64)
62年には中国系ジャマイカ人Byron Leeが映画『007 ドクター・ノオ』に出演したこともあり、スカはジャマイカの上流階級や海外にも知れ渡り、64年にリリースされたMillie Smallの「My Boy Lollipop」は全世界で600万枚を売り上げる大ヒットとなり認知度を上げます。ちなみに、聞いてわかるように、日本で有名な東京スカパラダイスオーケストラのスカは言うまでもなく「スカ」から来ています。
■Millie Small – My Boy Lollipop (64)
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