ラリって目玉をくり抜いたり、ビルから落ちたり……元ポン中が教えるクスリによる幻聴
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
薬物の幻聴で目玉をくり抜いた
「ラリって自分の目玉を手でくり抜いちゃった人がいるそうですが、薬物でやらかしたことってあります?」
編集者さんから聞かれました。ラリって目玉をくり抜く……。さすがに聞いたことありませんよね。日本やなくてアメリカの話でした。
ニュースによると、突然、頭の中で「世界を救うために自分の大切なものを差し出せ」的な声が聞こえてきて、目をくり抜いて(誰に?)差し出したそうです。今は義眼で、社会復帰できてるそうです。薬物中毒者とはいえ、若い女性でここまでやる人はなかなかいないから、アメリカでも話題のようですね。
「拉致られたオンナを助けろ」と声が
覚醒剤やコカイン中毒では、幻聴や幻視はありがちで、「頭の中の声」は、わりと聞こえます(苦笑)。瑠美は聞いたことないですよ。
普通は聞こえても無視するのがプロちゅうか「クスリ(違法薬物)に慣れてる人」です。声に素直に従っちゃうのは、まだシロート(?)ですね。
ちょっと前のミナミの通り魔事件(2012年)の犯人は、「殺せ」という声で実行しました。2人も殺してるのに、「覚醒剤中毒の後遺症による幻聴」(いわゆる「覚醒剤精神病」)として、無期懲役の判決が確定しています。ムショでは治らないと思いますけどね。
こんな人殺しまではありませんが、知り合いの「やらかし」はけっこうあります。たとえば、「『A(知人女性)がヤクザにさらわれたから助けに行け』と声が聞こえた」と言って、Aちゃんの家に押しかけて、なぜか逆に自分がさらっていった男がいてました。
まあさらうくらいならまだマシで、「この女を懲らしめろ」と「声」に言われて、元カノをボコって薬物治療の病院に強制入院させられた男もいてます。仲間内の話では「一生出てこられない」そうです。