サイゾーウーマンコラム“中学受験”に見る親と子の姿中学受験産業に踊らされた母 コラム “中学受験”に見る親と子の姿 中学受験に2年間で400万円投入、マンションも手放して……「受験産業に踊らされた」母が今思うこと 2020/08/22 19:00 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) “中学受験”に見る親と子の姿 私立中合格も、夫のリストラでさらなる窮地に! 結局、昨年、芳樹君はある中堅の大学付属校に入学したのだが、ここで問題が発生したそうだ。 「主人がリストラされてしまい、一気に家計がピンチになったんです。大学付属校って、学費が高いので……。それで、いろんな奨学金制度を探したんですが、中学生にはないんですよね。お金がないなら、公立に行けばいいってことみたいです。でも、今さら転校させるのは、あまりに可哀想なので、マンションを手放すことにしました」 多香子さんに、今、中学受験についてどう思うかを聞いてみたところ、彼女はこう言った。 「やっぱり、何も知らない素人が雰囲気だけでやるもんじゃないって思います。中学受験って、お金が湯水のように消えることもありますけど、それって多くの場合、親の要らぬ期待とか欲があるように感じるんです。なんでしょうね、周りの優秀な子たちと同じじゃなければならないっていう呪縛に、親子ともども、振り回されていたように思えるんですよ。今、冷静に振り返ると、あんなにお金と時間をかけなくても、入れるところに入ればいいだけの話で……。特にお金のことは、もっと冷静になるべきでしたね。親として最も情けないのは、現在、小2の芳樹の妹には、本人がいくら望んでも、中学受験は受けさせてあげられないことです」 幸いにも芳樹君はその学校を気に入っており、今のところ塾要らず。万が一、家計が好転しなくても、高校になると学校独自の奨学金が給付される制度があるとのことで、安心材料ではあるという。さらに、大学付属校なので、長い目で見れば、中高生にかかりがちな塾代、予備校代、大学受験料が丸ごと浮く可能性もある。多香子さんの総決算はまだ先の話だ。 中学受験、その先の中高一貫校にはさまざまなメリットがあることは確かだが、「ない袖は振れない」世界であることもまた事実。親御さんは受験参入前にこそ冷静に、教育費シミュレーションをしておくことを強くお勧めしておきたい。 前のページ123 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。 記事一覧 湘南オバちゃんクラブ 最終更新:2020/08/22 19:00 楽天 明るい暮らしの家計簿(2020年版) 不安解消にお金を使うのはもったいない 関連記事 第1志望の「お嬢様学校」に合格したけれど……中学受験には“成功しなかった”母と娘「塾なし」のお金をかけない中学受験は成功するのか? 年収500万円前後のシングルマザーが立てた作戦とは中学受験塾のトップに君臨……「神童」と呼ばれた息子が、最難関私立でつまずいてしまったワケ「もう最悪です」中学受験生の母が語るコロナ禍の悲劇……自宅はゲーム天国、悲惨なテスト結果に“虚しさ”も医者になるための中学受験で挫折! 大学受験“全滅”、専門学校へ進んだ「開業医の息子」の反抗 次の記事 映画『アス』DVDプレゼント >