『親バカ青春白書』ガタローのような“過保護”親は現実にも? 「子どもの就活」に首を突っ込む保護者たちの実態
現在、日本テレビ系で放送中の連続ドラマ『親バカ青春白書』。同ドラマは、愛する娘・さくら(永野芽郁)が、大学で悪い男に引っかからないか心配するあまり、自身も同じ大学に入学した父・ガタローこと小比賀太郎(ムロツヨシ)が主人公のホームコメディ。ヒットメーカー・福田雄一氏が手がける作品、かつ、新垣結衣が1年8カ月ぶりに連ドラに出演することもあって、放送前から話題を集めていた。
ガタローは、“日本一の親バカ”として描かれ、その常軌を逸した過保護ぶりが視聴者の間で話題に。娘と同じ大学に入学した以外にも、さくらにGPSを付けたり、彼氏を作ることを「許さない」と主張するなど、現実にいたとしたら、明らかな“トンデモ親”と言えるだろう。
しかし、最近では、実際に「過保護すぎる大学生の親」の存在がクローズアップされている。中でもよく話題に上がるのが、子どもの就職活動に首を突っ込んでくる親が少なからずいるということだ。昨今は、保護者向けの就活セミナーが頻繁に開催されるなど、就活は“親子二人三脚”のイベントになりつつあると言えるかもしれない。
そんな親子就活には、世間の風当たりが強く、ネット上では「子どもの成長を妨げている」「就職先は子ども自身が選択すべき」などの声も多数見受けられる。サイゾーウーマンでは過去に、親子就活の実情を知るため、就職予備校「内定塾」東京校の就職コンサルタント・齋藤弘透氏に取材を行っていた。「親バカ」ドラマが注目を集める今、あらためてこのインタビューを掲載する。
(編集部)
(初出:2018年5月3日)
親の「就活介入」は当然の時代!? 就職予備校にやって来る、大学生の父母の深い悩みとは?
社会人への通過儀礼ともいえる“就職活動”。経団連が、就活解禁日としている大学3年生の3月1日を迎えると、真新しいリクルートスーツを身にまとった就活生が、街中でよく見られるようになる。どの学生も、希望する会社に入れるよう必死に活動をしている中、昨今は、保護者向けの就活相談やセミナーが全国各地で開催されるほど、“親の就活介入”も当たり前になってきているそうだ。
世間では、20歳を過ぎた子どもの就活に親が首を突っ込む様子に「親離れ、子離れができていない!」「さすがに過保護すぎる」「子どもの成長を邪魔してどうする」との批判も根強いが、果たして“親子就活”の実情とは――? 保護者向けの就活相談も行っている、就職予備校「内定塾」東京校の就職コンサルタント・齋藤弘透氏に話を聞いた。
保護者向けの相談会では「現状を正しく知ってもらう」
――最初に、保護者向けの就活相談では、どのようなことをお話されているのですか?
齋藤弘透氏(以下、齋藤) 内定塾では、個別で問い合わせに対応するスタイルなので、ご相談内容によって若干変わってきますが、スケジューリングや就活の実態など、今の就活事情について説明することが多いですね。その上で、準備の仕方や企業が採用する基準などをお伝えしています。保護者の方が就活を経験された時代とはずいぶん状況が変わっているので、まずは現状を正しく知っていただくことが大切だと感じています。
――今の大学生の保護者というと、50代くらいの方が中心ですよね。保護者の時代と、どういった点が変わっているのでしょうか?
齋藤 まず、一番大きく変わったのは、「就活のやり方」だと思います。応募方法も今と昔とでは大違いです。かつてはインターネットなどありませんでしたから、自宅に送られてきた分厚い就職情報誌に付いているハガキを送って入社案内を入手し、簡単な履歴書を郵送したと思いますが、今の学生はネットが普及し、就職情報誌に代わって就職情報サイト(就活ナビ)が必須のツールになっています。また、評価基準も変わりました。今はより即戦力に近い人材を求める傾向にあり、「好きなことを頑張れるのは当たり前」との見方も強まっているため、学校の成績やGPA(各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値)を参考材料にして、能力や、苦手なことも頑張れる力を見る企業が大半。ひと昔前の大学生って、仲間と一緒に朝まで飲んで騒いで、翌日の授業をサボる……なんてことが当たり前でしたが(笑)、企業は“学校の成績”を見るようになったため、出席率も重要で、そういった学生は就活で苦戦するようになっています。
あと、スポーツの実績が尊重され、大企業に受かりやすいイメージも強かった体育会学生も、しっかり学業と部活を両立できていないと難しいケースが増えています。それから、大学時代、資格取得に励む学生もいますが、今は1人でコツコツ頑張るより、チームワークを必要とするサークルやアルバイトなどでの経験を重視する企業も少なくありません。資格や英会話力などは、付加価値程度なんです。