オンナ万引きGメン日誌

万引きGメン憤怒! タトゥー夫婦の共犯目撃も「おれは盗ってないから」……ふんぞり返る夫の秘密

2020/06/28 16:00
澄江(保安員)

夫婦で再来店! 声をかけると「お化けでも見たかのような顔」で……

 それから、およそ3カ月。スーパーTで巡回をしていると、件の彼女が旦那さんらしき人と2人で店に入ってくるのが見えました。旦那さんらしき人の体にも、たくさんのタトゥーが入っており、とても目立っていたのです。なんとなく目を離せないでいると、入店するなり二手に分かれた2人は、誰かを探しているような動きで店内を大きく一周してみせました。そうして入口前に戻ると合流して、仲良くカートを押し始めたのです。あまりに不自然な行動に強い悪意を感じた私は、落ち着きない様子で周囲を気にして歩く2人に気付かれぬよう、つばのついた帽子を目深に被って、その後を追いました。新型コロナウイルスによる自粛要請期間中のため、客足は少なく、少しでも油断すれば気付かれてしまう状況です。慎重に追尾を続けると、いくつかの商品を棚取りした2人は、この店一番の死角箇所に入っていきました。

(前も、あそこで入れたのよね)

 犯行に至ることを確信して、身を隠しながら2人の行動を見守ると、旦那さんらしき人と目配せをした女が、刺身や牛肉、ビールなどの商品を次々と自分のバッグに隠していきました。見張り役がいることで安心しているのか、前回の時よりも堂々と、臆することなく犯行に及んでいるように見えます。通常客を装いたいのか、バッグには入りそうにないサイズのキャベツと長ネギの精算を済ませて店の外に出た2人に声をかけると、まるでお化けでも見たかのような顔で驚かれました。

「こんばんは。また会ったわね」
「ひっつ! あれ? 今日も入っていたの?」
「あなたには関係ないことよ。ちゃんとお金払わないと、ね。お二人とも事務所まで来ていただけますか?」

 そう言うと、旦那さんと思しき人が、口を尖らせて言いました。


「なんで? こいつが勝手にやったことで、おれは関係ないよ。なにも盗ってないし」
「私、全部見ていましたから。奥さんだけのせいにしたら可哀想よ。どちらにせよ、迎えに来ないといけなくなるだろうし」
「……………………」

新品本/万引きGメンは見た! 伊東ゆう/著