[コラム]K-POPタテ・ヨコ・ナナメ斬り

EXO・ベッキョン「Bungee」、BTS、BAPほか……Jazzy HiphopのK-Pop20曲を解説!

2020/06/03 19:00
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Jazzと友好関係を結んだ90年代

 サンプリングの説明をした回でも少し言及しましたが、既存の曲をサンプリングする場合、どうしても著作権の問題がつきまといます。

 正式に許可をもらうには費用がかさみ、うまく切り取ってループにすれば原曲の製作者にバレないかもしれない……そもそもサンプリング文化が始まった当初は、製作者から使用許諾を取らないといけないという意識さえなかったかもしれません。

 91年にBiz Markieというアメリカのラッパーがリリースした曲が、サンプリング問題で訴訟を受け敗訴するなど、これ以降も著作権を巡ってたくさんの訴訟が起こされています。このJazz Rapのムーブメントにも、もちろんそのような問題はあり、弁護士を立てて対応していたレーベルもあります。

 一方で92年、イギリスのHiphopグループUs3が、Blue Note Recordsという39年設立のJazz専門名門レコードレーベルに所属しているGrant Greenの「Sookie Sookie」をサンプリングした楽曲「Tukka Yoot’s Riddim」をリリースしますが、Blue Note Recordsは訴訟せず、Us3と契約を結びレーベルの楽曲を自由に使えるようにします。HiphopがBlue Note及びJazzの歴史に関心を集めてくれる可能性があるという考えからの行動でしたが、その後リリースされたHerbie Hancockの「Cantaloupe Island」をサンプリングした「Cantaloop」はアメリカで大ヒットを記録し、Blue Note Records初のゴールドディスク認定を受けます。

 以降サンプリングによって楽曲が大量に使用されたJazzアーティストの中には、金銭的に大きな利益を得る人もいました。


■US3 – Cantaloop (Flip Fantasia) (93)

 また92年、ジャズトランペット奏者のMiles Davis死後に、HiphopプロデューサーのEasy Mo Beeとの共作アルバムがリリースされ、JazzとHiphopの融合が実現します。Jazzを引用し、時には訴えられる側であったHiphopが、圧倒的に歴史の長いJazz側から歩み寄られることになったのです。

■Miles Davis – The Doo Bop Song

 このあたりがJazz Rapの人気の最高潮と言われていますが、先述のGang Starrメンバー・GuruはJazz Rapの人気に好感を持っており、更にネクストレベルへと昇華したい思いからJazzのアーティストたちをスタジオに呼び新しいジャンルを作ろうと試みます。「Jazzmatazz」という彼のソロプロジェクトのシリーズはvol.4まであります。どれもとても良いアルバムですが、個人的には3枚目の『Vol. 3: Streetsoul』がとても好きです。

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■Guru Featuring Donald Byrd – Loungin’ (Vol. 1、93)

■Guru Featuring Erykah Badu – Plenty (Vol.3、2000)

■Guru feat. Commom – State Of Clarity (Vol.4、07)

 その後も90年代はたくさんのJazz Rap楽曲がリリースされます。

■Digable Planets – Rebirth Of Slick (Cool Like Dat)(93)

■Nas – The World Is Yours (94)

■De La Soul feat. Guru – Patti Dooke (93)

■Souls Of Mischief – 93 ‘Til Infinity (93)

■Common – Resurrection (95)

■The Pharcyde – Runnin’ (95)

■The Roots – Dynamite! (99)

【輸入盤】2NDミニ・アルバム:ディライト