コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
公立の高校受験組に負ける! 中学受験突破の息子が「中だるみ」「夜10時まで帰らず」……母の焦り
2020/05/24 16:00
そんな、ある日のこと。一翔君が学校に行ったまま帰って来ないという事件が起きた。時刻は夜の10時過ぎ。仁美さんは慌てて学校に連絡し、先生たちも心当たりを探してみるということになったそうだ。
しかし、ほどなく、ひょっこりと一翔君が同級生と共に部室に現れたという。なんでも、カブトムシを捕まえるために、雑木林で夢中になっていたのだそうだ。
後日、お騒がせのお詫びに学校を訪れた仁美さんは、担任の先生から笑顔でこう言われ、再び仰天したという。
「お母さん、ご心配はよくわかりますが、一翔はバカじゃありません。高校へ上がる基準についても十分わかっているはずです。もっと一翔を信用して、長い目で見てやってくれませんか?」
しかし、仁美さんは負けじと応戦したそうだ。
「でも、一翔は(高校進学基準に当たる)英検3級にも受かっていませんし……。無事に高校に進学できるかどうかもわからないんですよね? 虫取りに夢中になっている場合じゃないです!」
そんな仁美さんの心からの叫びに対し、担任の先生は穏やかに、でもきっぱりと「一翔はやれる子です。英検もまだ受験回が残っています。僕は一翔を信じてますよ」とおっしゃったと聞く。