サイゾーウーマンコラム“中学受験”に見る親と子の姿中学受験の「ご褒美問題」 コラム “中学受験”に見る親と子の姿 小6で中学受験「撤退」まで視野に……「ご褒美を欲しがる」息子に、母親がブチ切れたワケ 2020/05/10 16:00 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) “中学受験”に見る親と子の姿 「150円に値上げして」ご褒美に味をしめた息子に怒り しかし、口で言うのは簡単であるが、なかなか思うようにいかないのは世の常なのかもしれない。 中学受験生の母である沙織さん(仮名)も、この「ご褒美」問題に悩まされている一人だ。息子である小6の悠馬君(仮名)は、志望校には入りたいという思いはあるものの、お世辞にも意欲的とは呼べない状態で、「なかなか勉強してくれない」という。そこで沙織さんはご褒美作戦を実行することにしたそうだ。 それは、悠馬君が塾の宿題をやり終えたら、100円のお小遣いをあげるというもの。なぜこのようなルールを設定したかというと、沙織さんは先輩母たちから ・次の模試で良い点を取ったら、お小遣い1,000円あげる ・今度の塾のクラス変更で上のクラスに上がれたら、ゲームソフトを買ってあげる というような、遠い結果に対するご褒美を設定しても、子どものやる気は出ない、さらに子どもに「成績なんて上がらないし、どうせ買ってくれないんでしょ」という“不戦敗”の気持ちまで呼び覚ましてしまうので、逆によろしくないというアドバイスをもらっていたからだ。 沙織さんは言う。 「最初はうまくいっていたんです。張り切って、100円をもらいに来ましたね。でも、そのうちに、ご褒美がないと何もしないようになってしまったんです。そもそも、塾の宿題は『やって当たり前』であって、ご褒美がないとやらないという態度に、私はモヤモヤしていました」 さらに、味をしめた悠馬君は、「欲しいカードが150円だから、150円に値上げしてくれ!」と言うようになったそうだ。 「自分で言い出しておいてなんですが、悠馬の態度にブチ切れてしまって……。ご褒美欲しさが先に立って『とにかくやればいいんでしょ?』みたいな態度にしか見えないんですよ。問題もすっごくいい加減にやっていて、算数の筆算なども、段ズレを起こすほど汚く、そのせいで間違えるほどでした」 そこで、沙織さんは前言撤回。お小遣い制度をなくしたそうだが、今度は悠馬君の不信感を招き、今現在、冷戦中。塾も休校の今、沙織さんは中学受験からの撤退も視野に入れているという。 冒頭で、「ご褒美作戦GO!」とは言ったものの、ご褒美というのは非常に難しい、いわば禁じ手とも言えるものなのかもしれない。ご褒美が有効に働く時もある一方で、むやみに釣ろうとすると逆効果になってしまうことがあるからだ。 ご褒美は「インプット(=日々の課題)に力を入れればアウトプット(=試験)でよい結果を残せる!」という目標達成のために利用するもの。これを早い段階から親子で理解しておくことが、「ご褒美問題」の一つの解決法ではないかと思っている。 前のページ12 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。 記事一覧 湘南オバちゃんクラブ 最終更新:2020/05/10 16:00 楽天 Nintendo Switch Proコントローラー 私も「ご褒美は仕事終わりの一杯」のほうが頑張れるわ♪ 関連記事 中学受験生の母、「下の子を放置してしまう」問題……きょうだい間の「教育費格差」は遺恨となる?中学受験に母の出番は「ないない」!? わが子全員、トップ私立から東大へ……「スーパー母」の実態中学受験に失敗、「絶対人に言えない学校」に入学――心が折れた優等生は「再生」できるのか中学受験専門塾に「日に3回」通い、温かい弁当を届け続けた母――その息子が「高校進学」できなかったワケ小5娘の交友関係や中学受験も、新型コロナウイルスの影響大ですよ! 次の記事 ママ友に「夫の給与」を聞いて愕然 >